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周りを気にせず少し長いディープキスを終え、お互い暖かい息が鼻の頭に当たるくらいの至近距離で見つめ合うと
「梓ちゃん。本当は少し乗り気じゃなかったりするでしょう?」
「そ、そんな事ないですよ……」
「そう? なんか味が少し違いわ。それに少し鼓動が早い気がするわ」
「ごめんなさい。先ほど男性の人に迫られて気持ちが乱れているんです」
ボクは先輩の機嫌を損ねないように違うことを強調した。茜先輩は微妙な味覚や鼓動などで相手の心を読んでくるんだよな…… まあその予想が的中していることが怖いんだけどね。すると茜先輩はボクの背中に抱きついて耳元で吐息を混ぜながら呟いた。
「うふふふ梓ちゃん。お望み通り今月から演劇部の予算を2倍出すようにしてあげたからね。それと以前お願いしていた演劇連盟の加盟もパパからお願いしてもらったわ」
「あ、ありがとうございます。と、とりあえずボクは部活に戻りますね」
ボクはすぐさま部室へと向かった。茜先輩はその後姿を見ながら唇をペロリと舐めながら僕の背中を見つめていた。
「うふふふ。梓ちゃんはわ・た・し・のモノよ。絶対に誰にも渡さないんだから……」
茜先輩のお父さんは大手銀行の社長でもあってこの学院へ多額の融資も行うほどだ。だから彼女に逆らうことは=退学。いわゆる影の学院長だ。
こうして入学当初に目を付けられたボクは、演劇部の活動費のために茜先輩の要求を受けることになってしまった。
けれどボクが急いで部室へ戻ると
「誰もいない…… 」
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