第4話 誘惑の毒蜘蛛《タランチュラ》

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「お嬢様。奥様が交通事故でお亡くなりになられました」 突然の別れに私は涙が枯れるまで泣いたわ。そんな姿を見た周りの大人たちは余計に気を使って更に私に対して怒るどころか更に何でも尽くすようになってくれたわ。私は解っていたわ。大人たちは出世のための私利私欲だってね。 「でも1つだけ手に入らなかった。それは私を優しく包んでくれる愛情が欲しいのよ」 そして、中学生になると女子と男子が校舎の裏で抱き合っている姿を目撃した時はとても刺激的だったわ。だってこんなテレビの世界しかないと思っていたもの 「この興奮よ。私も味わいたいわ」 私はお父様にお願いしてオシャレやファッションを学ぶために世界的なスタイリストさんにいつもお願いしてもらったわ。 すると…… 「茜さん、ボクと付き合ってください」 「ありがとう」 学年で1番人気の男子は正に三ツ星レストランの料理だわ。ファーストキスの時なんて今までの人生で最高の興奮だったわ。でもそんなに長くは続かなかったわ。私はすぐに冷めてしまって一方的に 「もう飽きちゃったわ。アディオス」 私に寄り付く男子は幾らでもいたから新しい刺激には困らなかったわ。面白くて初めのキスや営みにすごく興奮するの。でも…… 「なんかつまらないわね……」 男なんて単純だし男女の営みなんて殆ど流れ作業よ。それにキスの味はみんなほとんど変わらなかったわ。どんな高級食材でも365日食べれば飽きてしまうわ。私は小学生で心理学や医学、生物学を学んでいた事で人の味や匂い、鼓動でその人の心の動きを読み取ることができるようになっていたのよ。でも決まって 「男は私とエッチしたいだけなのよ」 それから、男子に人気がある女子と刺激を求める関係になったわ。確かに男子と味は違うわ。でも、いろんな女子と関係を重ねることで味のパターンが解っちゃったのよね。 「女子はどうせ、私に近づいて利用したいだけなのよ」 そんなつまらない中学生活も終えると、ウチの銀行が多額の融資をするさいたま学院に入学すると初日から理事長室に呼ばれたわ
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