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「いつもお世話になります。何か学園生活でお困りのことがございましたら遠慮なくお申し付けください」
「ありがとうございます。パパにもよろしく言っておきますわ」
理事長は笑顔で私に何度も頭を下げたわ。でもこの人から発する加齢臭は私利私欲を守るための薄い感謝の気持ちだったわ。私の父の機嫌を頭の中で考えていたわ。
私が廊下を歩くといつも目を輝かせながら生徒達が
「茜さんよ」
「可愛いな」
「良いなあ。私も仲良くなりたい」
私にお近づきになりたい人は増えていき、何処に行くにしても付いてくるようになったわ。どうせ進学や就職先の保険と思っているんでしょうね。
だから私は1年で生徒会長にもなれたし規則や校則も私の一言で
「理事長さん。今月から新聞部を廃部にします。彼らは規律と秩序に反します」
「解りました。あの茜さんに対する批判記事は目に余りますね」
気に入らないものは排除するわ。理事長が速やかに決定してくれたわ。でもママと同じ愛情を味わえない学園生活だったけど私が2年の時、運命の出会いを果たしたのよね。
「新入生代表松本梓さん」
「はい! 私はこのさいたま学院に入学できたことを誇りに思います!」
入学式の時に新入生代表として挨拶をした時の梓ちゃんを一目見たら、人生で1番憧れていたママに似ていたんだもの。
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