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「どうしたの一体?」
「綾ちゃんお願いがあるの。演劇部の顧問になって? このままじゃ廃部になっちゃうんだよ」
「……」
綾子先生はフェンスをギュッと握ると俯いて黙ってしまった。
「ボクからもお願いします。美咲から演劇部時代のいじめの事など詳しく聞きました。春香先生や綾子先生が叶えられなかった夢をボク達が必ず叶えて見せます。だから力を貸してください」
ボクは深々と頭を下げると美咲も一緒になって頭を下げてくれた。
だけど……
「私はもうあの場所に戻っちゃいけないのよ…… ごめんなさい」
綾子先生は俯きながら僕らの横を通って足早に戻ろうとした時だ。
「部室を片付けていたら昔のアルバムが見つかったの。綾ちゃんもお姉ちゃんも楽しそうだったわ」
「アルバム……」
「ボクも小学生のころに辛いいじめを受けていました。でも春香先生が救ってくれてボクを演劇の世界に導いてくれたんです。ボクのせいで死んでしまった春香先生の想いを届けたいんです」
「春香……」
「綾ちゃん。このままで良いの? 逃げているだけだよ。全てを一生一人で背負う事ないよ。幕が下りるまで1秒だって諦めちゃダメなんだよ!」
「美咲ちゃん……」
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