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「お! あずっちと美咲ちゃんお疲れ! いや~参ったよ。超疲れたわ」
「亜希先輩大丈夫ですか?」
明らかにいつもと違うのは明白だった。それでも先輩は気丈にふるまいながら窓から校庭を見ていた。
「大丈夫だよ。それよりも早く遅れた分取り戻すために練習しないとマジでやばいでしょ? 何で美咲ちゃんは泣いているのよ」
「はい…… でも塚本先輩…… ガラスに反射している顔を見たら私だって…… 泣かないわけにはいかないですよ!」
「え?……」
この時、亜希先輩の瞳からは大粒の涙が零れ落ちていた。先輩も限界だったんだろう。何度手で拭っても止まらない涙にボクの心は締め付けられた。
「ごめん。なんか今朝から涙が止まらないんだよ…… 私ったらマジ情けないわよね。頼りにならない部長のせいで皆を巻き込んじゃってごめんね!」
「良いんです先輩!」
美咲と亜希先輩はお互い抱き合いながら泣いている。ボクは美咲を泣かせてしまったことへの罪悪感と自分への怒りが込み上げてきた。
「ボクがあの時、先輩の行為を受け入れていれば……」
大切な人をここまで悲しませるのならいっそのこと「偽りの愛」受け入れればいい。すると廊下で聞き覚えのある声で話し声があったのでボクが部室を出ると
「だ、大輝先輩!」
先輩はシーっとジェスチャーをする。やっぱり男性と二人は気まずい…… 緊張した面持ちと警戒心から目を泳がせながら話しかける
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