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「梓ちゃん。もうわかったでしょ? そろそろ諦めて私のところへ来なさい。あなたはクモのように絡めた私の愛の糸から逃れられないんだから」
「嫌です。まだあと1日あります。幕が下りるまで絶対に諦めません」
無理なのは解っている。でも…… ボク達のカーテンコールはまだ早いんだ。大切な美咲をこれ以上悲しませるような事は、もう出来ない。電話を切ると無性に悔しさが込み上げて来て、ボクは眼がしらに力を入れて涙をこらえながら帰宅すると、リビングからカチカチとパソコンを打つ音が聞こえた。
「父さんならボクの相談に乗ってくれるかも……」
でも、怖い……入口の前で何度も後退った。ボクは勇気を振り絞って拳を握ると父さんに相談する事にしたが……
「と、父さん…… 実はボク……」
「おい、お前、茜さんを泣かせることをしたのか?」
背中を向けながら低い声で話す父に圧巻されて言葉が出ない…… 茜先輩はボクに傷つくことを言われたと先輩の父親に告げ口をしたそうだ。
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