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プロローグ
「ねえ松本さん。良かったら今度の日曜日に公演を観に来ない? 」
誘い(デート)は彗星の様に突然やってきた。大好きだった春香先生から言われた一言で小学4年のボクの人生が大きく変化した。
担任の春香先生はボクに笑顔で優しく手を差し伸べてきた。
開演当日
ボクは不安な気持ちを抑えて一人で席に座って待っていると暗闇の中、ゆっくりと緞帳が上がり照明が灯るとそこは感動の異世界だった。
初めて誘われた演劇にボクの心は奪われていた。スポットライトに照らされて光り輝く舞台上で幸せに満ち溢れた笑顔で華麗に演技をする先生はまさに「舞台の女神さま」だった。
「ボクがこんなに胸を躍らせながら釘付けになる気持ちは初めてだ……」
抑えきれない興奮はまさに快感だ。自分に自信がないボクが初めて瞳と心を輝かせることが出来たんだ。そして今、目の前で華麗な演技を披露する先生の事が大好きだ!
例えボクが女子でも先生に胸をときめかせながら最高の一時間を味わった。この時舞台上を華麗に舞う春香先生の姿とボクの姿を重ね合わせていた。
学校で誰にも相手にされない自分、居場所に悩むボク…… いじめを受けて死にたい事だってあった。この世界からボクがいなくなればいいと何度も思っていた。だけど先生がボクを救ってくれた。
あっという間に公演は終わりボクが先生の元に駆け寄ると、鮮やかな照明に照らされた先生は、光る汗を軽くぬぐいながらボクに優しく微笑みながら右手を差し出してきた。
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