シャンプーとリンス

唯一の娘が嫁に行き、25年ぶりに二人っきりで旅行しましたね。
特急電車の中、美しい山の景色を眺めながらお弁当を食べようとバッグを開けてびっくり。

あなたが不器用な手つきで、小さな瓶に詰め替えてくれたシャンプーとリンス。
蓋をちゃんと閉めてなくて漏れていて、着替えもお弁当もあなたと私の香りになってしまいましたね。

しかたがないので駅弁を買いましたけど、あれ本当に美味しかった。
あの山菜幕の内弁当、もう一度あなたと一緒に食べたいです。

「シャンプーとボディソープ、じぃじの頭はどっちで洗うの？」
可愛い孫の質問に、みんなで大笑いしましたね。

その夜、あなたが入浴中に浴室へタオルを届けました。
頭を洗っていたあなたのシャンプー、ぜんぜん泡立ってなかったですね。

あなたも私も、歳を取ったことをしみじみと感じました。