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シャンプーを手に出して、揉んで泡にするとふわりと香りが広がる。
その度に思い出す、あなたのことを。
シャンプーの香りはあなたの香り。
娘が生まれて手が放せない私を気遣い、あなたは買い物に行ってくれましたね。
「ありがとう」
そう言って送り出しましたけど、本当は、仕事人間のあなたがちゃんと買い物出来るか心配でした。
あなたは、いつものリンスを片手に颯爽と帰ってきましたね。
「パッケージが変わったの知らなくて迷ったけど、このリンスの容器からお前の匂いがしたからわかったんだ」
あなたは、本当に誇らしげに言っていましたね。
なんだか私も嬉しかったんです。
だから言わなかったんですが、あの時お願いしたのは、リンスとトイレットペーパーだったんですよ。
そんなあなたからは、リンスを使わないシャンプーの香りがしていました。
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