シャンプーとリンス

1/3

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
シャンプーを手に出して、揉んで泡にするとふわりと香りが広がる。 その度に思い出す、あなたのことを。 シャンプーの香りはあなたの香り。 娘が生まれて手が放せない私を気遣い、あなたは買い物に行ってくれましたね。 「ありがとう」 そう言って送り出しましたけど、本当は、仕事人間のあなたがちゃんと買い物出来るか心配でした。 あなたは、いつものリンスを片手に颯爽と帰ってきましたね。 「パッケージが変わったの知らなくて迷ったけど、このリンスの容器からお前の匂いがしたからわかったんだ」 あなたは、本当に誇らしげに言っていましたね。 なんだか私も嬉しかったんです。 だから言わなかったんですが、あの時お願いしたのは、リンスとトイレットペーパーだったんですよ。 そんなあなたからは、リンスを使わないシャンプーの香りがしていました。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加