お仕事②「イケメンパラダイス」

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お仕事②「イケメンパラダイス」

あたしは駅前にあるスポーツショップの 販売社員、だ。 小さな町でもあるS市の中では かなりの大型店舗なのもあって あらゆるスポーツに関する道具や ユニホームから学校指定のジャージまで 幅広く扱っている。 品揃えは豊富なのもあって お客さんはひっきりなしだし、 かなりの忙しさだった。 社員だけでは当然手が足りないので、 アルバイトのコたちを複数名雇っているのだが どういうわけかなかなかの イケメンが揃っているのだ (品揃えとおんなじだわね) その中でも… 「あのう…かほさん…」 小さな声で私に話しかけてきたのは うちの店のバイトくんの中で 女子高生に1番人気の茶見くん(20歳・大学2年生) 大学ではバドミントンのサークルに所属する彼は 身長186センチ、長い手足と こぼれるような大きな瞳がきれいな イケメン・メガネ男子だ。 「相談したいことがあるんですけど…」 至近距離で彼の顔を見るのは さすがのあたしでもかなりドキドキしてしまう。 (いやん) 「相談…?なあに…??」 あたしが茶見くんから話を聞こうとした、 その時… 「かほさ~ん、これどこにしまうんでしたっけ??」 なんともタイミングの悪い…(ちっ) 振り向くと、 バスケットボールがいくつも入った 網の袋を抱えた由野くん(21歳・大学3年生) の姿が…。 このメガネ男子も 身長184センチ、バスケ部所属(小学校かららしい) 長い手足とアーモンドのような切れ長の瞳の なかなかのイケメンだ。 ちょっと引っ込み思案なところが お姉さまたちの母性本能をくすぐるらしく 由野くんはOLからおばさままで 年上女子のお客さんたちに囲まれることが多い。 「あ…それは奥のB倉庫に入れといて。納品書は?」 「デスクの上にあります」 「了解」 由野くんの乱入に出鼻をくじかれたのか、 茶見くんは 「あ、後でまた…」と その場を立ち去ってしまった。 …?何の相談かしら…?? 昼休みにでも聞いてみるか…。 そして、昼休み… 「え?????」 あたしの問いかけに 茶見くんは思わず顔を赤らめて下を向く。 茶見くんの相談が気になって あたしはお昼を一緒に食べることにした。 店の近くにあるおそば屋さんの 奥のテーブルで話をすることにしたのだが…。 「だから…あの…由野センパイの… 好きな食べ物って知ってますか?」 「由野くん…?何で??」 ますます顔を赤らめる茶見くん。 なんかさぁ…そこいらの女子よりかわいくない?? 「由野くんは…確かいちごが大好きだったはず」 「いちご…ですか…」 「うん。いちごが入ってるモノはなんでも好きだよ」 「わかりました…」 そう言った茶見くんの笑顔の なんとやわらかなこと…。 恋する女子の顔だわ、これって… …え?……えええ????? 「あのさ…茶見くん」 「はい?」 「もしかして…由野くんのことが好きなの??」 あたしの問いかけに 茶見くんはバンビのような濡れた瞳を 一気に2倍の大きさにした。 「い、いえっ!!そ、そんなわけね~です!!! 僕はこの前、社会史のレポートのことで 由野センパイにお世話になって、そ、それで お、お礼がしたくて…」 おおお…どんどんゆでだこだよ…(爆笑) なんかかわいいなぁ〜… 顔を真っ赤にしながら カツ丼をものすごい勢いで たいらげる茶見くんのかわいい「告白」を あたしはフムフム…と聞いていた。 思えば… かなりのモテ男子のくせに 女の子の話はほとんどしたことがない茶見くん。 まったく興味がないわけではないみたいだけど その瞳はいつも違う対象を追ってるような… …って、それが由野くんだったの…??? 由野くんは 普通に女子の話とかしてたっけ…?? そっちもそうでもないしなぁ…(あれ??) …ってことは2人はゲイ? いやいや、由野くんはバイ? (どんどん楽しくなる想像←ククク…) その次の日… 朝から茶見くんと由野くんは一緒のシフトだった。 せっせと伝票整理をする由野くんを もじもじしながらもそっと見つめる茶見くん…。 きれいな2人がこんな感じなのって 気持ち悪くないから不思議だ(うんうん) そして、昼休み… 茶見くんは由野くんと なぜかあたしを一緒にお昼に誘ってきた。 ファミレスのやっぱり奥のテーブルで 茶見くんはあたしと由野くんに それぞれ包みをくれた。 「由野センパイ…この前のレポのお礼です。 かほさんは昨日のお礼に…」 「ありがとう、茶見。何?これ開けてもいい??」 「はい…」 由野くんとあたしが中を開けると…。 「うわ~~いちごのタルトじゃん!! うまそ~~~」 由野くんにはいちごのタルト、 あたしにはいちごのロールケーキ。 「1コ食べてもいい?」 ご飯前だと言うのにあっと言う間に大きな口で パクっとタルトをほおばる由野くん。 「うんめぇ~!!これ、どこで買ったの?茶見??」 「い、いえ、それは僕が作ったんです…」 ああ…思いっきり乙女の顔だよ、茶見くん… (うっとり) 「マジで??すごいな~~~!! ホントにうまいよ、茶見!!」 「このロールケーキも茶見くんが作ったの?」 「はい…」 あたしの問いかけに返事をしながらも 由野くんの顔しか見てない茶見くん。 …完全に恋に落ちたな、こりゃ。 でも… 由野くんはまったくわかってない感じ(笑) なんかさ…この2人の恋?の行方、 超楽しみだわ…(うふっ) 「ちょっとトイレに…」 食事の後、トイレに立った茶見くんを見送った後、 由野くんはポケットから何かを取り出した。 「あの…かほさん」 「ん?なあに??」 「今度の土曜日って…休みですか?」 「うん。休みだけど…??」 「僕と…その…一緒に映画見に 行ってくれませんか??」 「え??」 見ると、由野くんの手には 映画の前売り券が2枚…。 何気に由野くんの顔を見ると あ…ゆでだこ…(笑) …って笑い事じゃないよ、おいおい…。 この表情は最近どこかで見たような… あれれれ~~~~!!!!! うっかり三角関係ぃぃぃ~~~~~??????
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