お仕事④「アミと由野くん」

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お仕事④「アミと由野くん」

「だからさぁ~、ムカつくんだってば!!!」 居酒屋のカウンターでアミは 生ビールをグッと一気に飲み干すと 大声でわめいた。 「アミセンパイ…大丈夫ですか??」 アミの横で後輩の由野が心配そうに 声をかける。 「うるさいわね~!!  今夜はとことん飲んでやるんだから~〜」 「でもピッチ、早いですよ~(焦)」 「ぐだぐだ言ってないで、由野も飲め!!」 「は、はい…」 「何それ~!?オトコのくせにマッコリとか  飲んでるんじゃないわよ~」 「僕、ビールだけはどうも苦手で…」 「ったくも~~~~」 とにかく今日は飲んで飲みつぶれたかった。 今日まで必死に暖めてきたプロジェクトが スポンサーの意向とかなんとかで 全部ダメになってしまったのだ。 責任の全ては プロジェクトのリーダーである アミに課せられた。 降格、とまではいかなくても、 どこか別の部署に飛ばされるかもしれない。 やけ酒につきあってくれる者も ほとんどいない中、 アミの片腕となって動いてくれた由野だけが、 アミに付き合ってくれたのだ。 ひょろっと背の高い、 メガネの青年と2人きりで 酒を飲むことなんて初めてだったが、 アミはとにかく今日は飲みまくりたかった。 今日の事はこれですべて忘れて、 これからのことを考えたい…。 それしかなかった。 相手は誰でも良かった。 最初からほとんどつまみも食べずに アミはどんどん酒を飲んでいった。 急激にアルコールが体の中を駆け巡っていく。 横にいる由野の顔さえ、 なんだかぼんやりしてくるようだ。 「アミセンパイ…平気ですか??」 心配そうに覗き込む由野の顔に アミはいきなり手を伸ばすと、 ひょいっとメガネを奪った。 「わっ!!ア、アミさん!!」(焦) 「由野ぉ~~、メガネなんかない方が  あんた、いいオトコじゃん~~」 「か、返してくださいよ~~」 アミはベ~っと舌を出して、 由野のメガネを ぐいっと自分の胸の谷間にはさんでしまった。 「取れるもんなら取ってみ~」 赤面しながら困惑する由野の顔を アミはあはは…と笑いながら眺めた。 …あれ…? なんかイケメンじゃん、このコ… 黒ぶちのメガネであまり見えなかったけど、 キレイな瞳だし、鼻筋通ってるし…。 こんなにキレイな顔だったっけ…? それに…この唇… アミは思わずうっとりと眺めてしまった。 「アミさん…」 「え…?何よ…」 ふいに由野はアミの腰に手を廻すと ぐいっと自分の方に引き寄せた。 至近距離に由野の顔が…。 びっくりしたアミは、思わず固まってしまった。 その隙に由野はアミの胸元から メガネを抜き出し、さっとかけた。 「アミさん、もう飲まないで…。  辛かったら、いくらでも泣いていいから…」 「なまいきなんだから…」 そうい言いながら、 アミの目には涙が溢れていた。 由野は微笑むと、そっとアミを抱き寄せた。 あったかい… アミは暖かい由野の胸で 子供のように声をあげて泣きじゃくった。
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