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掠れた声が智弥を貫いた。
一瞬動けなくなり、気づけば光希の姿はバタンと激しい音を立てて閉まった扉の向こうへ消えていた。抱きしめていた両腕が虚しく空をつかむ。
――光希が好きだ。いつの間にか、こんなに好きになっていたのに。
「光希……」
あきらかな拒絶。
――俺じゃ、駄目なのか。俺じゃ、あんたを救ってやれないのか。
「くそ……っ」
智弥は頭をくしゃくしゃに掻き混ぜて、ソファに突っ伏した。
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