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19.
「智弥ぁ」
「あん?」
「そんな辛気臭いツラしかできねーんなら、厨房行って来いや」
「……分かったよ」
「いくらフラれたからっていつまでもメソメソしてんじゃねえよ!」
岳大の言葉に心臓が抉られそうに痛む。
ブランカのカウンターに立ってから、もう何度ため息をついただろう。
「やっぱ……フラれたのかな、俺」
「はしたなく迫って『ごめん』って逃げられてまた連絡つかねえんだろ? しかも今度は既読スルーなんだろ? 意図的に避けられてんじゃん」
ああ……なんで岳大さんにべらべら喋っちまったんだ、俺。
これ以上、岳大と話していると立ち直れそうにないので大人しく厨房へ足を向けることにする。
「お、らっしゃーい」
岳大の声に振り向くと、少し険しい顔をした山崎がカウンターに手をついた。
「智弥くん、ちょっと話があるんだけど」
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