19.

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   前回と同じく、カウンターから一番近いテーブルに、さらに同じく向かい合わせに座る。――相変わらずカッコいいな、くそ。 「……悪い、そう言えば伝言伝えそこねた」 「それはもういいよ。直接伝えられたし」 「あっそ」  同じ職場という立場が今は心底羨ましい。 「あいつ、最近おかしいんだ。ぼーっとしてミスが増えたし、会議中に急に喋れなくなったり。……きみが何かしたんだろ」  した。しかも泣かせた。でもそれは。 「……俺のせいじゃねえよ、多分」  ――あんたのことがまだ好きなせいじゃねえの。それか、あのバーテンダーのせいかもしれないし。 「恋煩いってやつじゃねえの。俺じゃない誰かに対しての」 「……羽根田が恋煩う相手が、きみ以外にいるっていうの?」 「いるんだろ。俺はきっぱりフラれた身ですから」 「フラれた? あいつがきみをフッたってこと?」  だから、そう何度も突きつけないでほしい。耐えられない。 「そうか……」  山崎は顎に手を当てて、考え込んだ。
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