きっと、いつか。

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「あの、良かったら、これ、お礼です」 そう言って、彼女は先程まで熱心に描いていたスケッチブックの絵を一枚、俺に渡した。そこには鉛筆と色鉛筆で描かれた桜とそれを眺める俺の横顔が描かれていて、まるで写真かと思われるほど精巧で美しく描かれていた。 「でも、せっかく描いたのにいいの…?」 「はい。ここに来たこと、内緒にしないとだから」 「?」 陽菜ちゃんは楽しそうに笑って、 気持ち良さそうに伸びをして周りの景色を眺めた。 「東京って良いところですね」 「え?」 「ここの桜は綺麗だし、  お兄さんみたいにカッコいい人にも出逢えるし、  私がネカフェに泊まっても誰も咎めないし、  誰も私のこと心配しないから、楽だし」 陽菜ちゃんの顔がどことなく曇ったような気がした。 「…あのさ、君、どこから来たの?」 彼女が口を開こうとした時、声がした。 「陽菜!」 見ると、近くに停められたうちの会社の社用車から 桜木が降りて来た。
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