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妄想究明
僕は生きてるのか死んでいるも定かではない。
この嘘の世界では演者が決められたセリフを吐く。
自分自身の情報はまるで、インターネットにさらされているように筒抜けになっている。
ピークになるとまるでテレビのように、ディレクターと思わしき人物の天の声が聞こえる。
「あいつ家に帰ったで」
生々しい監視の声が聞こえる。僕は常にカメラに追われている気がする。
たまに激しいフラッシュもたかれる事もある。
これからするお話は現実なのか妄想なのか、自分では判断出来ないお話です。
僕は一個一個の出会いという偶然の中に、自動的な運命を感じる様な青年であった。
僕は高2で初めて出来た彼女にフラれた。
まだ思いは痛みとして残り、この時軽く脳がショートする。激しく変な動きをして、自分を蔑めて悲しみを回避するような行動をするようになった。
卒業式、そんな変人となった僕に彼女は僕の人生に多大な影響を残す言葉を残して去っていった。
「好きな事したらいいやん」
これは天の声なのかと頭の片隅で思い、軽い気持ちで絵で食べていこうと決断した。そして僕は大阪の専門学校へ進学した。
大阪での学校生活が始まる。都会に来た僕は授業が終わると、遊び場を探した。
高校からの趣味であるビリヤード場に目が止まった。その名も「ワンダフルツー」ワンダフルという系列の2号店らしい。僕はここの常連になった。
そこで、幻聴がピークの頃に現れるパチプロのK氏と出会った。
K氏は生まれてこの方働いた事がなくパチンコ一本で18年間くらい生きていた。社会に揉まれていないK氏は歪んでいないのか物凄く優しく接してくれた。そして、口癖は
「好きな事したらいいやん」
僕は何かに導かれている。
本当に好きな事とは何だろう。
学校を卒業し、デザイン会社に入社するころには、パチンコで勝てるという事を理解していた。
デザイン会社に入って半年何の問題もなく業務好調で仕事をこなしていた。その頃物流を回す人員が不足していたため、社長に誰かを紹介して欲しいと頼まれて、ビリヤード場からの友達であるH氏を迎えいれていた。お喋り好きでよく会社でも話してちょっと前よりずいぶん仲良くなっていた。お洒落な彼はデザインの事も詳しかった。
それから半年たった頃、会社の雰囲気が一変する出来事が起こる。商品の自主回収だ。メディアがかけつけて僕達をたたいた。
スタート!ここでカメラが回りはじめた。
経営は赤字に、マイナスは痛みを伴う。H氏は突然解雇された。
その日僕は涙が止まらなかった。人は無常。誰も助けてくれない。
この頃から僕は何故かいじめられ出した。
「お前のせいで、商品が売れない」
営業の人はひそひそ噂話しを始めた。
ストレスがたまって仕事帰りに同僚とパチンコにいくと、当たって積んであった箱をとられた。
頭が整理できない。なんでこんな理不尽な事をされないといけないんだ。
仕事に集中出来なくなってくる。僕は商品につけるバーコードを打ち間違えた。納品してある工場にシールを貼りなおしに部署全体ででかけた。
ずっとみんなに睨まれ続けている。
あの人物は裏社会と繋がっている。
爪を一本一本剥がしてじわじわと激痛を与えて殺していく様な事をする。
僕はサトラレるので、仕事は完璧にこなさないと、罠に嵌められてしまう。
罠を一個一個解除して殺されないようにする。
殺されるというのは何も物理的なものだけではない。薬を抱き込まされ、社会的に葬られるという事もある。僕の言動、行動全て念蜜に計算して表に出さなければゲームオーバーだ。すなわち地獄を味わう事になる一個一個体のパーツが焼失していくような地獄。
思いを寄せていた事務員さんが、パチンコ屋で箱を奪った同僚にお尻を揉まれている。怖い怖い怖い。
僕は大阪の街を、会社を無断欠勤して途方もなく歩いた。足が棒のようだ。
フラッと精神病院に入ってみた。
「そんなん思いこみや!!」
先生は僕を突き放した。
無断欠勤から開けて、僕は会社を首になった。
朦朧と混濁した意識の中でK氏がいる。
「今度名古屋の方がパチンコいい状況らしくていこうと思って、どしたお前顔色悪いで」
僕はこの後、気づいたら実家の布団の中にいた。
徐々に回復していく意識の中で
僕は呟いた。「好きな事したらいいんや」
この言葉は人を正しい方向に向ける。中途半端に好きと言うのは、自分の身を焼く。社会では通用しない。好きならばやめないし、誰にも負けないストイックな行動となる。
本当に好きな事をするべき、
好きはものの上手なれ。
すっかり体が良くなり僕は名古屋に向かった。
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