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風見side
同じ病室にいる年老いた男性患者に、孫が聞く。
「おじいちゃんは、何食べてるの?食べてるところ、見たことない」
「雲の霞だよ。」
「なにそれ」
窓の向こうは晴天。横に伸びた白い雲。
雲の霞ってどんな味なんだろうな。なんて…。
『なによ、見せないでよ。食べたくなる!』
『風見が学校にいないと、なんか変な感じだからさ…』
『良いんじゃない。結局こうなったんだからさ』
『食べることにおいてさ、一番大事なことって何を食べるかじゃないよね』
『誰と一緒に食べるかだよね』
『明日から元気になるから。全部リセットするから。だからここで目一杯泣きたいの』
亜子ちゃんの言葉がフラッシュバックする。
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