みたらし団子

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ドアをノックするまで、私はどんな顔をしようか考えた。強張った顔の筋肉を指でほぐす。 意を決してノックする。 「はーい」 風見の声がする。あの、のんびりした声。私を見たら、また追い返すかな? 嫌われていないかな? 「お邪魔します」 引き戸をあけてから、しばらく爪先を見ていた。風見が何も言わない。怖くて顔をあげられない。 「食べる?」 突然、風見が聞く。 顔をあげると、笑顔で 市販のみたらし団子を引き出しから取り出してみせた。どこからくすねたんだ。 「…食べる」 こんな時でも、私は腹が減っている。
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