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風見は車椅子じゃなくて、歩いている。屋上にあがって、ベンチに腰掛ける。シーツが干してあって、風に白がゆれている。外は晴天 春日和。
風見が蓋をあけて、差し出す。
お礼を言って受け取る。ベンチに隣り合わせで腰掛けて、私はただ口の中でひろがる甘みと微かなしょっぱさに目を瞑る。
私、泣きそう。
風見とまた食べることが出来た。でも今日のこれきりかな。
私達はお互いに違う大学に進むし、食べ友なんて学生の一瞬切りだった。
惜しいことをした。
なんであの時、風見に付き添わなかったんだろう。
色んなものを噛み締めていたら、いつの間にか団子の味は消えていく。風見はとなりで大事そうに食べている。
何から話したら良いんだろう。
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