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それから
卒業式後の再会を果たしてから、春休みは大学の説明会で大忙しだった。
風見と会うこともなく、自然と大学生活に馴染んでいく。でも食べている時に考える。風見は何してるかなって。
一年生の梅雨明け。
電話がかかってきた。
「もしもし」
〘亜子ちゃん?久しぶり〙
風見の声は凛としていて透き通っている。その声を聴いただけで、懐かしくて、込み上げてくるものがあった。
「久しぶり。元気そうだね」
〘うん。今頃、ご飯食べてるかなって〙
「あたり。」
〘美味しそうじゃん〙
「え?」
声が近くで聞こえた。振り向くと、風見が後ろに立っていた。夢でも見てるのかな?
「もーらい!」
風見は私の弁当箱からタコさんウインナーを取って、頬張った。
「おいしい」
「こらぁ」
風見は私が腰掛けている石畳の隣に座る。また逞しくなったな〜なんて親目線で見ていると、目があった。
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