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次の瞬間、静かな玄関に風見のくぐもった声がした。
「好きなんです…亜子ちゃんが」
「えー」
「俺ばっかりが…亜子ちゃんのこと大好きなんです」
「ここで言う?」
「じゃあ、どこなら言っていいの?」
そりゃ…そうだけど。
風見がやっとこっちを見る。思ったより近くに顔があって驚くけど。
心の奥からポカポカ煮立つものがある。ほわほわしていて、手放したら飛んでいきそう。頭がぼんやりして、風見の言った言葉を繰り返している。
「彼氏いないよ、私」
「それは聞いた」
風見は長い脚をジタバタさせる。
「亜子ちゃん、俺のこと好き?」
「なんていうか…」
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