それから

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「しくじったんだよね。卒業式のあと」 「え?」 風見が目を丸くして聞き返す。 「風見がみたらし団子を出すから、気が抜けて…。」 「なにそれ、どういう意味?」 わからないようだ。この鈍感男め。 「あの日、風見に『好き』って言おうとしてたの。みたらし団子があんまり美味しくて忘れてた」 風見はポカンとしている。 「好きなんです…わたしも」 膝の上できゅっとした風見の手を握る。風見の頬が上気していく。 うちら、玄関で何してんのさ。 「なにか…食べに行く?」 風見が切り出す。 「そうだね」
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