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洗い終わったあと、約束通りタッパーの中のゆで卵を渡す。
風見は殻を割って、剥きながらにやつく。半分かじりついて、中からとろける黄身にうっとりした顔。私も隣でゆで卵を食べた。
こんなところを那奈美に見られたら「また食べてばっかりね、二人は」と飽きられそう。
「あのさ…」
重々しく風見が口を開く。
花火大会の時に私は過去最大に、人に甘えた。その相手が風見だった。男の人に寄りかかって泣くなんてことはなかったのに。
それから、なんとなく想像した。
風見がもし私を好きになってくれたら、どうだろう。どんな気持ちになるんだろう。
このあと続く言葉が…もし。
「俺、これから食べにいけなくなる」
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