ポカリスエット

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風見は名役者になれる。 あんなに美味しい顔をしていたのに、だんだん味が薄くなってきていたらしい。 「都筑さん、もう少しいる?」 病室に戻るまでの廊下で白石くんが聞く。白石くんは塾に通っている。そろそろ進路のことも…ね。 「うん。」 「じゃあ、お先に。気をつけて、帰ってね」 「ありがとう。白石くんもね」 白石くんは手を振って、廊下を歩き去っていった。 風見の食べる量は看護師を驚かせた。御飯の量が少なくて、おかわりをお願いしたら 次から丼でご飯が来たそうだ。 「亜子ちゃん、泊まってく?」 風見は冗談を言う。ニコニコしているのは相変わらずだ。 「帰るよ、床で寝させるの?」 「ははは。」 風見はまた笑う。パイプ椅子に座った時、風見は咳払いした。 「…寂しいんだよ」 風見は窓の向こうを見つめて言う。ここからちょうど海が見える。夕日が沈みそうだ。
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