精霊の里 ~時が止まった町~

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私はひとりぼっちだ こんなにたくさんの人がいるのに・・・ 私の横には誰もいない こんな時 みんなはどうするのだろう ワイワイ騒いで酒飲んで高笑いする? でも 酒を飲まない私は? あまり親しくもない友達呼んで 愚痴をこぼす? だれも聞きたくなんかないよね 人の失恋話の愚痴なんてさ はーーーーと ため息しか出ない 「飽きる」って何? 飽きたからって簡単に捨てられるものなの? 愛犬を飽きたからって捨てる? 飼い猫を飽きたからって捨てる? まして人間をさ! そんな くだらないことばかり考えていて 日々が過ぎる それから数日後 彼の理由は「飽きたから」だったが その本当の理由がわかった 彼には新しい彼女ができたのだ キャビキャビの若い子 お目目が真ん丸でかわいい子 思いっきり甘えて猫なで声をあげる女子 すっごく空しくなった こんないい加減な男に私は3年も尽くしたのか・・・と 新しい住居に引っ越ししたいとも思ったが そんな余力も残っていなかった あーーあ 嫌になる 何もかもが嫌になる 彼との生活守るために あんまり好きでもない仕事を一生懸命やってきた それも辞めたくなる 久しぶりにテレビをつけたら 昔の歌番組をやっていた 私が生まれる前の歌なのだろうか 古そうな歌だけど 今の私にはとても新鮮だった 曲名は終着駅 お人形のような女性歌手が歌っている すごく印象的だ 「終着駅」の言葉に私の心は躍る 終着駅まで行ったら きっと何かが変わる そんな気もしてきた 私の思い描く終着駅・・・ その先にはうらぶれた村があって または深い山間が広がっていて または海が見える絶壁の街だったり いろんな終わりの景色を思い浮かべてしまう 都会での終点は それからまた続く終点 だから田舎の終着駅にあこがれた
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