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向こうから手を振りながら友人が走ってきた
精霊は
私が友人の方を向いた瞬間に
消えていた
なんて間の悪い
彼女はごめんごめんと手を合わせながら近づいてきた
「ごめんよー
時間 間違えちゃったよ」
いいよ
(そのおかげで精霊に出会うことできたしさ)
私はすぐに現実に引き戻された
「すごかったよ 電車
窓にさあ 山の木の葉がパタパタ当たってさ
いやあ
この先町なんてあるんだろうかって
心配になったりしてさ」
「電車道はそうなんだよねえ
今はさ みんな車ばっかりだから
駅と違うところに店が多いんだよ
大きなアウトレットなんてバイパス通りにはいっぱいあってさ
電車使わないんよねえ
学生くらいかな 電車使うの」
友人は
楽しそうに話し始めている
「遠かったでしょ?」
「まあね
でも電車旅好きだから」
「何にもないけど
住みやすいといえば めちゃ住みやすいよ
車があればの話だけどね」
彼女は
そう言いながら赤い小さな車の方に向かう
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