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「マジで律子さんじゃなくて良かったのか」
「ああ、施設長が門田に書いてもらった方が良いって言ってたし」
「んー、俺が結婚する時、お前に書いてもらいやすくなるからかね」
「さあ、朝佳と昔馴染みだからなんじゃねえの」
「それは第一だろうけどね。はい、間違いなく俺の名前」
「助かった」
「いいよ。それより、おめでとうなんだよな? しかし間宮と黒木がかぁ。全然想像できねえ」
「だろうな」
「お前と間宮が毎日一緒に寝てんの? お前らでおっぱじまんの?」
「兄ちゃん、想像しただけで吐きそう、やめて」
「律はほんとに朝佳ねえちゃん大好きだもんね」
さらっと下ネタを挟んで笑ってくる門田から書類を受け取って、きっちり書き込まれていることを確認して紙袋に押し込んだ。
「まあ冗談だけどさ。結婚に驚いたのはマジ。黒木、あいつのこと本当に大事にしてやってくれよ。あいつ、いつもどっかに消えそうだから」
どちらかと言うと、けらけらと笑っている印象が強い男が、真顔で俺を見た。
『いつもどっか消えそう』
言葉の意味を、俺も何度も感じている。しっかりと頷くと、すぐに門田の表情が和らいだ。
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