🎄貴方の為に🎄

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蓮司さん。 辛いの苦手だからなぁ。 中華料理にも種類があるのを知り 四川料理を 食べてみたいと言ったらいつものように顔を顰めて。 ああ。あれが攻防戦だったのかも。 あんな熱くて辛い物はバカになるとか 意味不明の言い訳して 必死に違う物を勧めてきて。 でも どうしても食べてみたいって言ったら 忙しいのに 店を探してくれた。 メニュー選びでまた攻防戦が出来たのかもしれない。 残念だったけど 楽しみが先に伸びただけ。 幸せだな。 こんな毎日が過ごせるようになるなんて あの頃の自分は想像もしていなかった。 目に入る物はただの無機質な【物】でしかなく 感情が揺れ動いた経験も無い。 それが今は全てが色鮮やかにキラキラして見える。 嬉しかったり。 楽しかったり。 苦しかったり。 悲しかったり。 怪物から少し人間になれたような気がする。 歩道の真ん中で立ち尽くしていたからか 周りに 変な目で見られ始め 慌てて晶は歩き出した。 さて。どうしようかな。 きっと何も食べずに帰ってくる。 ワガママ言わずに最初から家でご飯を食べることに しておけば良かった。 スーパーはまだきっと開いてるから・・。 何か温かい物。 何時になるかわからないから温められて。 出来れば少しはクリスマスっぽいもの・・。 クリスマスをよく知らないから 事前に情報は 脳内に収めてある。 ふっと広告画像が浮かび上がった。 うん。シチューとか。 チキンは最寄りの駅前で買えるし ケーキも多分。 晶はまた地図アプリを出し 足早に歩を進めた。
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