🎄貴方の為に🎄

6/12
1763人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
「・・ええ。そうです・・はい。わかりました。 ではそうさせて貰います。了解。」 蓮司は電話を切ると 隣で聞き耳を立てていた征也に 向かって頷いてみせた。 「ガセだと報告しておいた。カメラ映像は入手した から 明日念の為に晶のチームに確認はして貰う。 今日はこれで終いだな。」 「あの。堂上さん・・。」 「ん?」 「・・すいませんでした。」 深々と頭を下げられ 蓮司は苦笑いを浮かべる。 「何。謝ってんだ。この仕事は無駄足踏んで ナンボだろう。」 「だけど・・本当は葉山と・・。」 「ああ。聞いてたのか。」 征也は強く志願し強行犯からのヘルプとして 先月から俺のフォローに付いた。 「蓮司が組対に異動になったの。すごい剣幕で 怒っちゃってね。どうしても もう一回蓮司の相方 チャレンジしたかったんだって。 いつまでもぐちぐち言ってるからさ。 強行犯は今デカイ案件も抱えてないし まあソッチも人手が増えるのは助かるって言うから じゃあいっか。と思って。宜しくね。」 丈一郎は軽い口調で電話越しにそう言ってきて。 全く。あの野郎はどうしてこうも勝手なのか。 とはいえ 確かに人手は幾らでも欲しい。 秀友会はエンペラーとは比較にならない程 ガードが固く なかなか尻尾の先端さえも見えない。 情報収集が肝であるのは 参加して直ぐに実感した。 「だから晶ちゃんにやらせて正解でしょ?」 勝ち誇ったようにそう宣う丈一郎が脳裏を掠め 蓮司は思い切り顔を顰める。 すいません。とまた項垂れる征也の肩をポンと叩いた。 征也が仕入れてきたネタが空振りに終わり かつ そう判断出来るまで ここまで時間が かかったのだから仕方がない。 「気にする必要はない。晶もデカだから理解してる。 クリスマスも正月も無いってな。」 強がりに聞こえないように口調に気をつけ 車に乗るよう顎をしゃくった。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!