🎄貴方の為に🎄

10/12
1764人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
「・・蓮司さん。」 「マンションの電気が点いてなかったからな。 GPS見たらここだった。何やってんだ。」 じわっと胸が熱くなる。 色々出来るようになってたつもりだったのに。 やっぱりまだまだ俺は・・。 「・・おい。どうした?」 蓮司さんはしゃがみ 俺の顔を覗き込んだ。 「調子が悪いか。」 ブンブン首を振ると 困ったように眉間に皺を寄せ チラッと床に置かれたエコバッグに目をやる。 「飯作ろうとしてくれてたのか。」 その優しい声音に 更に胸がきゅっと苦しくなった。 「・・帰ってくるまでに・・シチュー作ろうと 思ってたんです。でも牛乳が何処も売り切れで・・ コンビニも回ったんですけど 売ってなくて・・。 買った食材で何か他の物をって思っても 応用が効かないから わからなくて・・。」 「ああ・・そういう事か。」 「ああっ!」 急に思い出し立ち上がる。 「牛乳に気を取られて チキンとケーキ。買うの 忘れました・・。」 ああっ。もう・・。 グシャグシャと髪を掻き毟ると 蓮司さんはクスッと 笑い 俺の腰に腕を回した。 「ケーキは買ってきたから。それにそんなに 気に病む必要は無い。いつも言ってるだろ? 一緒にやればいいって。」 「でも・・作って待ってたかったから・・。」 「ああ。その気持ちはちゃんと貰った。」 え。 「気持ちを・・貰う?」 どういう事だろう。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!