🎄貴方の為に🎄

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「俺の為にしてやりたいと思ってくれたんだろ。 その気持ちはちゃんと貰ったから。ありがとう。」 「で・・でも。」 「気持ちだけでも嬉しいんだぞ。お前だって 俺がお前の為に何かやってやると嬉しいんじゃ ないのか。」 「う・・嬉しいです。でも蓮司さんはいつも ちゃんとしてくれるし・・。」 「した行為や物より そう思ってくれた事実の方が 嬉しいんだ。違うか?」 諭すようにそう言われ 思い返す。 ああ・・そうだったかも。 こんなに俺の為に考えてくれたんだって。 その気持ちが嬉しい・・。 理解したのがわかったのか 蓮司さんはポンポンと 頭を叩くと俺を離し しゃがんでエコバッグの中身を 漁り始めた。 「・・ああ。鶏モモ肉に・・ブロッコリーに ジャガイモ。にんじんもあるな。これならチキンの グリルでも作ってみるか。」 「・・チキンのグリル?」 隣にしゃがみ そう聞くと蓮司さんは頷く。 「野菜を軽く茹でてから鶏肉と一緒にオーブンで 焼くだけだから簡単だし 骨付きチキンじゃなくても 充分クリスマスっぽくはなる。 それが狙いだったんじゃないのか。」 何でこの人は全部わかってくれるんだろう。 本当に優しい。 失敗を叱られた事も今まで一度も無くて。 また次頑張ってやってみろって。 その気持ち。 思いやりが嬉しい・・。 涙が出そうになり 目を瞬かせると蓮司さんは ふっと笑い エコバッグを持って立ち上がった。 「よし。じゃあ帰るか。」
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