🎄貴方の為に🎄

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触れ合うくらい身を寄せ 歩き出す。 「約束を破って悪かったが 俺は命拾いしたな。」 「え。何ですか。」 「クリスマスにしこたま辛い物を食わされなくて 済んだ。それだけで最高のクリスマスだ。」 ニヤッと笑うと 俺の鼻をツンと突いた。 もう・・。 でも。きっとこれも思いやり。 俺が気に病まないように。 もう凹むのは止めよう。 せっかく蓮司さんが 気分を変えようとして くれているのだから。 「じゃあ。今度非番を合わせたら行きましょうね。 それか レシピを調べて作ってみてもいいかも。」 「止めてくれ。」 「え。何でですか?」 見上げると蓮司さんはクシャッと顔を顰める。 「作れるようになると凝り始めるだろ。 前もほら。パスタに凝って毎日パスタを食わされた。 あれから俺は一度も外で食ってない。」 「だって。せっかく出来るようになったから。」 「だから。それはいいってあの時も言った。 だが毎日辛い物は流石に勘弁してくれ。」 「毎日食べたら 蓮司さんでも食べられるように なるかもしれませんよ。」 「嫌だ。バカになる。」 キッパリと言い切られ 晶はキョトンと 目を見開くと クスクス笑い出した。 「ほ・・ホントにそう思ってるんですか。」 「お前。信じてなかったのか。本当だぞ。 あんな熱くて辛い物ばかり食ってたら 頭がボーッとして何も考えられなくなる。 ・・おい。笑うな。」 堪えられなくなり 晶は立ち止まって身を折りながら クスクスと笑い続ける。 その笑顔に釣られ 蓮司も口元を緩めると 誤魔化すように顔を顰め 手をガシッと掴んだ。 「・・行くぞ。」 引き摺るように歩き出す。 「ケーキはチョコレートにしたからな。」 「え。ショートケーキが普通じゃないんですか?」 「そうとは限らないだろ。」 「蓮司さん。意外とチョコレート好きですよね。 甘い物はバカにならないんですか?」 「血糖値下がったら甘い物。これが鉄則だ。」 「でも。ホールそのままはダメですからね。」 「それが醍醐味だろ。」 「ダメです。食べ過ぎ。この間だって・・。」 二人は攻防戦を繰り広げながら マンションの エントランスへと並んで入って行った。 ・・Merry Christmas🎄🎂
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