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―東海道新幹線、東京→岡山、9:09→12:22、のぞみ19、普通、4号車、13E―と印字された切符だ。
「オレは君と一緒にいたい。君もそう思っていると信じている。待ってるよ」と言うと愛人の隣にいた女性が立ち上がり、わたしはこのひとの妻です。いや、もう少しで元妻です。最後にあなたとこの人を1発叩かせてもらってもいい?
わたしは訳も分からず「どうぞ」と言ってしまった。
愛人は何も言わない。
すると社長令嬢の手の平が、わたしの頬と愛人の頬にぶち当たり、バチン!バチン!とものすごい音を立てたかと思うと、わたしはすっころんでしまった。
そのまま、社長令嬢は一言も発さずその場からハイヒールをカツカツといわせて去っていった。
「大丈夫かい?」愛人が訊ねる。大丈夫大丈夫と立ち上がり椅子を直すと、わたしも気を取り直し、氷水をひと口含んで、それじゃあまた明日ね。絶対行くからねと言い。ウェイターが直視する中を、恥ずかしくなったまま、カランコロンと帰って行った。
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