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卒業
生放送
ゴタゴタがあってから1週間後、レッスンを終えて自主練をしようとしているとちょっと望実、事務所に来てと呼び出された。えっ、行っちゃうの……?子犬みたいな目をしていた2人には何時になるか分からないから今日は家で自主練するように伝えた。
最初は何で呼び出されていた頃はドキドキしていたが何度か事務所に行くうち一喜一憂することはなくなった。
望実、レッスン終わった後に呼び出してゴメンね。
「2週間後の土曜日、午後2時からテレビ番組の生放送でストロベリーカーニバルからも最大4人まで出演して欲しいという話が依頼が来ているけれど出演するメンバーは望実に一任してもいいかな?」
「望実としては自分も含めてフラットに考えたいので全体を見渡してテレビに出して大丈夫なメンバーを選出しようかなと思いますがそれはあくまでも案で最終的にはスタッフさんに決めてもらいたいです」
「それにあたって望実としてはどうしたらいいと思う?」
「そうですね……。劇場ライブや握手会の振る舞いは勿論の事ですがレッスンでの様子やスタッフさんに対する態度が大事になります。テレビ出演やテレビ出演するってなるとテンションが上がってテレビ局の方々や他の出演者に挨拶をするといった礼儀が出来ているのか。そこはアイドルとして以前に1人の人として求められているものかなと望実は思います」
「ひとまず望実の方でテレビ出演するメンバーを最大4人まで考えておいて、望実も抜き打ちでレッスン場や劇場ライブの様子を見ているからさ。望実はメンバー目線として3日前までに望実に伝えて欲しい。話はそれだけだから望実も帰っていいよ、お疲れ様」
お疲れ様でした。失礼しますと事務所を後にした。
ここで望実は2つの選択肢で悩んでいた。
抜き打ちでメンバーを見るのか?それとも奮起させるためにメンバーに伝えるべきなのか考えていた。
翌日、望実はレッスン前に全員の前で2週間後の土曜日にテレビ出演が決まりました。ストロベリーカーニバルは最大4人までとスタッフさんから聞きました。桐島望実がキャプテンだから望実は決まりと言うわけではなく劇場ライブの様子や普段のレッスンの様子、スタッフさんの態度を見て総合的に決めようと思います。アイドルとして以前に1人の人としてテレビ出演していいものなのかを基準に決めます。
「この日から1週間、メンバーを俯瞰して見て誰を選出するべきなのか考えていた。少し前に比べたらメンバーたちはお互いに助け合おうという意識が高まり仲間であり、ライバルでもあり切磋琢磨していると感じていた。今ならば全員出してもいいと思うが枠が最大4人までという制約がある。難しいな……」
期日も決まっているし気がついたら3日前になった。
「レッスン後に事務所に行くと望実、決まった?」
「そうですね……、暫定では桐島望実、川本咲希、名取萌々香、栗原海音の4人を推薦します。テレビ局やメンバーに通達はスタッフさんの方からお願い致します」
「分かった、最終判断はスタッフが判断したということにして望実に批判を受けないようにするね。後はこっちの方でやっておくね。キャプテンの望実に色々と責任を負わせてゴメンね。萌恋もメンバー同士のこととか何かあったら遠慮なく私たちスタッフに言ってね。信頼して望実にお願いしてるけれど体調崩してしまったら元も子もないし桐島望実のグループで成り立っているようだとダメだと思うからさ」
「ご心配ありがとうございます。何かありましたら伝えたりすると思うのでその時はお願い致します」
テレビ出演2日前、レッスン後にスタッフさんがレッスン場にやって来た。テレビ出演するメンバーが決まりました。
「1人目桐島望実、2人目川本咲希、3人目名取萌々香、4人目栗原海音この4人で行こうと思います。、
不平不満があるメンバーはキャプテンの萌恋に言わずに直接私に言ってくること。理由としては最終的にこの4人を選出したのは望実なので、お疲れ様」
前であれば他のメンバーがどうして望実が選ばれないのかと言う所だがそんなこと言うメンバーは誰もいなくてキャプテンの望実は嬉しかった。
生放送当日、4人でテレビ局に行って出会うスタッフさんや共演する出演者たちに挨拶しに行った。
有難いことに望実と咲希は何度かテレビやラジオに出演させてもらっているが研究生の海音ちゃんや萌々香ちゃんはテレビ局来る事も始めてで緊張していた、挨拶を終えて私たちの控え室に戻った。
「海音ちゃん、萌々香ちゃんは始めてテレビ出演で緊張すると思うけれど困った咲希や望実がいるから安心して」
「咲希に頼れる先輩は違うね〜。それでどうするの?」
「望実が海音ちゃん役だと思ってこう言って」
「望実、困ったワン」
「ウィンクしてホントのワンちゃんのように首を傾けてね」
分かリました。「望実……、困ったワン」これでいい?
「さすが望実、完璧だよ。海音ちゃん、萌々香ちゃん2人とも困ったらこれで私たちに振ってね」
2人は分かりました。
海音は生放送直前に咲希が考案した困ったワンをブログに載せていた。
時間になり、私たちは生放送に挑んだ。ストロベリーカーニバルとして自己紹介して生放送は進んで行き、望実は萌々香ちゃんと目が合い子犬のような目をして望実さん、困ったワンと振ってきた。
困っているなと思い、代わりに受け答えをした。生放送が終わり、共演者さんやスタッフさんにご挨拶をしてテレビ局を出た。
海音と萌々香は始めてのテレビ出演にお疲れ気味で望実は今から4人で甘いものでも食べに行こうか。みんな何か食べたいものある?
萌々香はこのあたりに動物のかわいいクレープを売っているお店があるみたいなのでそこに行きたいですとスマホで道を調べて向かった。
お店に入ると動物クレープはクマやウサギ、ブタ、ハリネズミ、アルパカと何種類かあった。
望実はクマ、咲希はハリネズミ、海音はハリネズミ、萌々香はアルパカとそれぞれ注文してそれぞれのクレープ単品と人物とクレープを撮ってそれぞれ食べてかわいくて食べるの勿体ないねといいつつ食べていた。この日はお疲れ様と解散した。
ケガの功名、そして卒業
望実は家に帰りスマホでブログやアメロゴスを投稿して他のメンバーがどんな投稿しているのか見ていると驚いた。
海音のブログに緊張しないように望実が咲希を相手に練習していた困ったワンが投稿されていてコメント欄には望実ちゃんかわいすぎと書かれていた。
恐る恐る自分のブログやアメロゴスのコメントを見ているとやはり困ったワンについての多数コメントが寄せられていた。そんな反響のあるものなのかとアメロゴスやニュースサイトのトレンドにある事が書かれていた。
「桐島望実、困ったワン」
望実とすればこれがトレンドに入っていることが困ったワンと言いたかった。
翌日、レッスンをしていて海音を呼んだ。
「望実さん、お話ってなんでしょうか?」
「海音ちゃんが緊張しないようにって咲希が提案した困ったワンってやつをブログに投稿したでしょ?」
「はい投稿しました。望実さんの困ったワンがあまりにもかわいくてこれを独り占めするのは罪だと考えて載せさせてもらいました。ダメでしたか?」
「海音ちゃんあのね、言いも悪いも勝手に撮って勝手に載せるのは良くないことだよ。せめてブログに投稿したいので載せてもいいですかって一言いってくれないと。今回は穏便に済ますけれどメンバー同士でも喧嘩のもとだから気をつけてね」
この困ったワンがストロベリーカーニバルにとって運命を変えることになることになるとはテレビに出演した4人は思いもしなかった。
私たちメンバーは知らされなかったがテレビやラジオ、雑誌と各方面からストロベリーカーニバルに出演して欲しいという依頼が多く来ていて予定調整でスタッフさんはこれまで以上にてんてこ舞いな状況になっていた。
望実はシールーム、握手会でお決まりのように困ったワンをするように求められていた。前までは東京で握手会やライブが多く、地方に行くことは殆どなかったがこの一件でストロベリーカーニバルが全国区になりつつあるといっても過言ではない。
萌々香ちゃんが言った困ったワンなのか、練習でやった困ったワンが反響がよかったのかは定かではないがこれがケガの功名になったことには間違いない。
それ以降、各メンバーはテレビやラジオ、雑誌の撮影と多忙の中で劇場ライブやライブでも最高のパフォーマンスをしていて望実も次のステップに進もうかなと考えるようになり、咲希に電話をした。
「もしもし咲希、今大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。望実どうしたの?」
「咲希はアイドルを辞めたらどうするか考えている?」
「咲希はモデルに進もうかなって考えているよ。望実は卒業したらどうするか考えているの?」
「望実はタレントとしてやっていこうかなって考えているよ。お互いに次のステップ考えているね」
「それで望実はすぐに辞めてタレントに転身するの?」
「いや、まだ次の事務所も決まっていないしもう少しメンバーたちに私たちの全てを伝えてからかな」
「確かに咲希と望実はストロベリーカーニバルの両輪としてやってきたのにそんなスグに辞めるとはいかないよね。望実と一緒にストロベリーカーニバルとして活動出来てホントよかったな」
「咲希、それは望実の台詞だよ。何も趣味のなかった望実にラジオ聴いてみたらっていうあの言葉がなかったら本宮皆実というアイドルを知ることもなかった、ストロベリーカーニバルを知ることもなかった。アイドルを教えてくれたのは他でもない咲希だよ。お礼を言うのはこっちだよ、咲希ありがとう」
「望実、ありがとう。これからはお互いに新しい事務所を探しつつ次の食いしん坊姉妹に並ぶ、いや超えるような両輪として任せていけるメンバーにするのが私たちの使命だね。じゃあ電話切るね」
翌日から望実と咲希はメンバーに歌唱力やダンスを今まで以上に厳しく教えていた。みんな文句1つ言わずに素直に聞いてくれてこの子たちに任せられると考えていてレッスンを終えた。
その後、望実は咲希と共に事務所に向かいドアを開けた。
あれ?望実、咲希2人揃って来るなんて珍しいね。
「すみません、大事なお話があるので2人で来ました。お時間ありますか?」
「うん、いいよ。別室で3人で話そう」
「所で話って言うのはなに?」
「桐島望実と川本咲希はストロベリーカーニバルを卒業しようと2人で事務所に来ました」
「今、ストロベリーカーニバルは2人のおかげて徐々に軌道に乗りつつあるのにどうしてまた2人揃って?今2人に抜けたら困る、考え直して」
「確かに以前に比べたらストロベリーカーニバルの知名度が上がってお仕事をさせてもらって有難いと思いますがずっとアイドルを出来るわけではありません。早かれ遅かれみんな卒業のタイミングが来ます。ストロベリーカーニバルは桐島望実と川本咲希いてのものと言われることもありますが私たちが卒業してダメになるようなグループではありません。今のメンバーを見ていたら私たちがいなくてもやっていけると思ったからこそこのタイミングだと思いました」
しばらく沈黙した。
「そしてスタッフさんは分かった。2人の卒業コンサートや最後の劇場ライブの日程決めておくね。いきなり卒業って言ったらファンの人やメンバーが動揺するから予め伝えること、それだけは2人とも守ってね」
「分かりました、受け入れていただきありがとうございます。私たちは家に帰りそれぞれブログやアメロゴスで卒業することを伝えたね
望実ちゃん卒業しないで。望実ちゃんあってのストロベリーカーニバルだよ。考え直して。
卒業を悲しむファンの人から沢山のコメントが寄せられ、翌日のレッスン後に望実と咲希が卒業することを伝えると悲しいと思ってくれたのか泣いてくれるメンバーもいて嬉しかった。
スタッフさんが私たちの卒業コンサートに向けて準備をしてくれていると聞いて嬉しかったがその反面、すぐに使える大きな会場が見当たらなかった。
望実と咲希は次の事務所が決まっていなかったのでまずはアイドルとして全うして新たな事務所に入って次のステップに踏もうと考えていた。
メンバーやスタッフさんに卒業伝えてから1週間、望実と咲希は再び事務所に来るように伝えられた。
「ホントは2人それぞれ卒業コンサートをしたいと考えていたけれど大きな会場がどこもいっぱいで鎌谷スタジアムは2月に1日だけ空いていてこんな形は申し訳ないけれど午前中のコンサートを川本咲希卒業コンサート、午後を桐島望実卒業コンサートという形でもいいかな?」
「望実はそういう事なら問題ないですよ。それに人によっては1日中コンサートを観られていいと思います」
「咲希はすみません、1つだけお願いがあります。
私たちスタッフに出来ることならばするよ。
コンサートってどうしても抽選で倍率も何倍になるか分かりませんが会場に来られない人も多く出てくる可能性があるのでコンサートをネット中継してもらう事は出来ないでしょうか?」
「勿論ネット中継以外にもテレビ中継も考えているけれどそこの所はこっちで進めておくから心配しないでいいよ。2人を次に呼ぶ時は劇場ライブの最終日が決まった時に呼ぶことになるから宜しくね」
望実は提案した。
可能なら桐島望実と川本咲希、2人とも同じ日にしてもらうこと出来ないですか?
望実、一旦落ち着いて。それも含めて決まったらまた2人に事務所に来てもらって伝えるからさ。
まずは半年後に行われる卒業コンサートに向けてのレッスンが始まった。
1週間後、望実と咲希は再び事務所に呼ばれた。
「2人の最後の劇場ライブは卒業コンサートの3日後に決まりました。
忙しいけれどストロベリーカーニバルとして他のメンバーに教えられる事は伝えてあげてね」
「分かりました、ワガママを聞いてもらいありがとうございます」
月日が流れ、あっという間に卒業コンサート当日を迎えた。大きな舞台でファンの人に観てもらえる最後の機会だと頑張っていこうと意気込んだ。
皆実からラインが届いた。
2月に行われる2人の卒業コンサートと劇場ライブだけど関係者席から見ようと思う。前に杏菜ちゃんに会って連絡先交換したからスタッフさんに頼んで杏菜ちゃん、里実ちゃん、穂乃美ちゃんの分も席を確保しているから4人で応援するね。
望実はふと皆実は卒業生だから関係者席で観ても問題はないが杏菜、里実、穂乃美の分はどうやって言ったのか、前に1度だけ顔を合わせただけなのに。
なにやともあれ皆実、杏菜、里実、穂乃美の4人にアイドルとして最後の勇姿を見せられることは悪いことでもないし深く気にも止めなかった。
ライブ当日、午前中はまず川本咲希卒業コンサートがや行われて満員御礼でテレビ局のカメラやネット中継のカメラも入り大いに盛り上がった。メンバーは1度休憩室に戻りお昼ご飯を食べていた。
咲希は望実に声をかけてきた。
「次は望実の番だね。さっきは望実が盛り上げてくれた分、今度は咲希が望実の卒業コンサートを盛り上げるよ」
「咲希、ありがとう。キャプテンとして頑張るね」
休憩が終わり、望実は午前中の咲希のように沢山お客さんが入っているのか?午前中のお客さんがみんな帰っていないのか?不安な気持ちでいた。
望実の思いは杞憂で桐島望実卒業コンサートは満員御礼となっており、うちわやタオルが振られていた。中にはボードで桐島望実と書いている人もいてライブが始まる前に泣きそうになっていた。
望実は歌って踊ってこんな大勢の人たちに応援してもらって支えられていたのかと改めて感じたライブになった。
残すは最後の劇場ライブか……。長かったような短かったようなアイドル人生だなと振り返っていた。
グループラインで穂乃美から望実、咲希2人ともライブお疲れ様でした、2人がアイドルとして輝いている姿を観られてよかった。杏菜からは残り少ないアイドルを楽しんでください。最後まで応援するよ。穂乃美からは私たちはいつまでも早乙女萌恋と如月優姫のファンであり続けるよ。またご飯行こうね。
このメッセージを見て3人には感謝してもしきれない。友達として1人のファンとして応援してくれた事に嬉しくあり、支えられていたと感じた。
続くように皆実からもラインが届いた。
「望実、卒業コンサートお疲れ様。入りたての時は全然踊れなくて悔しくて毎日のようにレッスン場で残ってやっていてよく皆実さん教えてくださいとよく頭を下げていたね。その姿を見て次のストロベリーカーニバルを担うのは望実しかいないと考えて次期キャプテンと推薦したよ。グループをここまで大きくなったのは桐島望実キャプテンをはじめ、ストロベリーカーニバルのメンバーの努力の賜物だと思います。残り少ないアイドル生活ですが悔いを残さず頑張ってください」
皆実のメッセージを見て望実はこの人に追いつきたい追い越したい一心でやっていたのにまさかそこまで考えてくれていたということに嬉しかった。
アイドルと最後の劇場ライブ日を迎えた。いつもは午後6時から始まるライブだが、この日は午後5時から3時間が予定されていて望実と咲希の最後の劇場ライブが始まった。
望実は関係者席に座る4人を見つけてウィンクをした。
ファンの人から望実ちゃん〜、咲希ちゃん〜と声が枯れるくらい大きな声援を受けてこの光景は一生忘れることは出来ないだろう。
劇場ライブはいつも通り2時間で終わり、1度袖に捌けた。望実と咲希は後1時間あるのにどうするのかと焦っていた。
そして海音と萌々香が出てきて今から2人のセレモニー行います。卒業される桐島望実さん、川本咲希さんセンターマイクまでお越しくださいと呼ばれた。望実は小声で咲希にファンの人に向けて手紙書いてきたけれど咲希は準備してきた?
咲希はうん、一様用意してきたよ。とりあえず急ごう。
望実と咲希はセンターマイクに行くとマイクを取ってまず海音が手紙を取り出した。
「咲希さんへ
まだ加入して数ヶ月で卒業されると聞いてホントに寂しい思いで今でも今日で卒業するのはウソだと言って欲しい気持ちがあります。初めての生放送で緊張していた海音と萌々香に優しく接してくれて困ったら海音や望実さんに振ってね、控え室で望実さんに困ったワンをさせていて笑顔になっている姿はかわいい女の子だな。しかし生放送では真剣な表情で学ぶ点が沢山あり、レッスン場では並々ならぬオーラを発していてオンとオフがスゴくてこれがプロのアイドルだなと感じました。これからは咲希さんのようにされるように海音も頑張ります。 栗原海音より」
海音から手紙と色紙、花束を渡すと優姫は泣いていた。咲希は海音、ありがとうと抱きしめた。
海音はマイクを萌々香に渡し、手紙を出した。
「望実さんへ
萌々香が初めて萌恋さんとお会いしたのはストロベリーカーニバルに加入する前で埼玉の草谷商店街で出会いました。元々ストロベリーカーニバル桐島望実さんのファンでもあったので実際に生で見た時は本物なのかと最初は疑いました。望実さんにオススメのお店を紹介すると一緒にご飯食べようとわざわざカメラを止めて一緒に食事をしてくれました。それだけでなく色紙が無い代わりにメモ帳にサインをして渡してくれてアイドルとしてよりもこんな優しい人がいるのかと思い、こんなアイドルになりたいと思うキッカケになりました。そしてストロベリーカーニバルに加入して萌恋さんの姿を見て驚きました。それは誰よりも早くレッスン場に来て練習をして終わってからもレッスンしている姿を見てあの望実さんでもこんなにやっているならもっとやらなくてはと思いました。望実さんが安心してこのグループを見られるようにこれからは私が引っ張っていきます。萌々香の中で桐島望実さんは永遠のアイドルです。 名取萌々香より」
咲希と同様、望実も萌々香から手紙と色紙、そして花束を渡されて萌々香を抱きしめてこれからのストロベリーカーニバルを宜しくねと伝えた。
望実と咲希は手紙を用意していたが泣いたまま読むことは出来ず1度裏に捌けた。涙を拭って水を飲み気持ちを落ち着かせて再びステージに戻った。
望実と咲希は顔を見合わせてマイクを優姫に渡した。咲希はどんなことを考えてきたのかと楽しみにしていた。咲希は手紙を取り出した。
「ファンの方々へ
今日まで川本咲希の応援ありがとうございます。昔から応援してくださっていただいた方々のおかけでアイドルとして輝く事が出来ました。
沢山の仲間、スタッフさんがいたからこそ私はここに居られます。もう1人、感謝してもしきれない人がいます。
それはストロベリーカーニバルのキャプテンでもあり、心友でもある桐島望実さんです。
望実は同じ高校で仲がよく一緒のタイミングでアイドルになり、心友でもあり1番のライバルで萌恋には負けたくないと切磋琢磨してきました。
優姫はアイドル活動をしていて励ましのコメントを下さる方もいる一方、誹謗中傷のコメントも寄せられて体調を崩して入院しました。
ある日、大雨の中にお見舞いにに来てくれたのは他でもない望実でした。その時に望実は咲希にに外を見るように言われ、病室の窓越しに外を見ました。
望実から今の咲希は大雨で中々止まない感じだけどずっと降り続ける雨はないよ。雨が明ければ空にキレイな虹が架かるよ。だから咲希も今はツラいと思うけれど体調を治してステージでまたキレイな虹を描くようにアイドルとして輝こうと言われ、ここまでアイドルとして活動することが出来ました。望実、ありがとう。
川本咲希より」
さっき咲希は一様考えてきたと言っていたが、ちゃんと考えてきていて感動して自分が読む前にまた泣きそうになり涙を堪えていた。
咲希から次は望実の番だよとマイクを渡された。望実は手紙を取り出した。
「ストロベリーカーニバルのキャプテン、桐島望実です。
望実は萌々香のようにずっとアイドルを目指している訳ではありませんでした。元々望実は趣味もなく家と学校を行き来するだけの生活をしていましたが同じ高校の咲希に何か趣味を増やしたいと伝えると教養も深まるからラジオを聴いた方がいいよ。その日の夜、たまたま聴いていたラジオに前キャプテンの本宮皆実さんが出演していて翌日にライブがあると知り、咲希と2人でライブを行ってからアイドルを目指すようになり合格しました。
前キャプテンの本宮皆実さんを含めて初期メンバーが種をまいてて私たちが加入をしてその種が段々と蕾になりました。それぞれのメンバーの頑張りにより蕾が少しずつですが花を咲かせました。そして皆実さんからの推薦もあって桐島望実が新キャプテンに就任しました。
桐島望実を含めてアイドルとして輝く事が出来るのはファンの人たちに支えられているからと常に感じていました。それは望実だけじゃなくてここにいるメンバー全員が同じ気持ちです。
ここまで頑張ってこられたのはファンの人、そして沢山の仲間、その中でも1番のライバルでもある川本咲希の存在があったからこそです。咲希と常に切磋琢磨して咲希には負けたくないという気持ちでやって来ました。
最後になりますがどんなキレイな花もいずれは枯れてしまいます。今日をもってアイドルという花は枯れますが次のステージでまた1から種を蒔いてキレイな花を咲かせて皆さんの前に帰ってくることを誓います。
桐島望実より」
時間が15分早く終わり、メンバーが一斉に集まって私や優姫の思い出話やこんなことがあったなどずっと喋って望実と咲希の卒業コンサートを終えた。
望実と咲希はまず1人ずつそれぞれの写真を撮った後に1度出て戻ってきてくれた皆実、杏菜、里実、穂乃美と6人で写真を撮って2人ともアイドルお疲れ様でしたと4人とそれぞれ抱き合った。
これで望実と咲希のアイドル人生が終わり、これからはそれぞれ違う道に進むことになる。
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