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ただものではない
遠足
翌日、学校に行くと咲希は元気に望実おはようと挨拶をしていた。
望実は咲希おはようと挨拶をするが昨日のことはホントだったのか、1日経ってもまだ信じられない。
その日の帰りに1週間後に東京にある動物園と水族館の複合施設にに行くと資料が配られ、みんな遠足に行けるとテンションがあがっていた。勿論望実や咲希も一緒に喜んでいた。
そして望実にはこの遠足でもう1つ楽しみがあった。それは咲希がお昼ご飯のお弁当がどんな物を持ってきてどんなおやつを持ってくるのかということだ。
帰りに咲希は望実に声をかけてきた。
「ねぇ望実、来週の遠足だけど一緒に回らない?」
「うん、勿論だよ。こちらこそ宜しくね」
1週間後、遠足の日になり望実と咲希と一緒にバスの隣に座って目的地に着くまでずっと喋っていた。高校から1時間、目的地の複合施設に到着した。
午後4時に入口に集合と伝えられ、ワンデーパスポートで入口をくぐった。
「望実、どういう風に回る?」
「そうだね……。イルカショーとかやるなら見たいからその時間を見て決めようよ。2人でイルカショーが行われる時間を確認した」
1回目9時 2回目12時 3回目14時 4回目16時
望実、4回もやるなら先に動物園から行こうと咲希に伝えた。
まず目に入ったのはウサギで2人でかわいい〜と写真を撮っていた。看板を見るとエサやり体験が出来ると書いてあり1回100円となっており2人で分けてウサギにエサをあげるとモグモグ食べる姿がまたかわいくて写真を撮っていた。
次はどんな子がいるのだろうと2人で喋っていた。
「ちょっと望実、栗鼠がいるよ。めっちゃかわいい〜。栗鼠が団栗に夢中になっている姿がスゴい愛おしいね」
2人は笑顔で写真を撮りまくった。
「咲希、動物園でこんなに燥いだの初めてだよ。ウサギと栗鼠なんて小さくてかわいいから家でも買いたいな。もしかして私が知らないだけで咲希の家族が動物園や水族館を経営してるとかないよね?」
「実はここの施設の運営は咲希の家族が、って何でもでも咲希の家族がやっていると思ったら大間違いだよ。そんなこと言っていないで次行くよ」
再び歩いているとゾウやキリンの大きさに圧倒され、これまで2ショットを1枚も撮っていないことに気づきゾウをバックに1枚、キリンをバックに1枚写真を撮った。
次はどこに行こうかと喋っている咲希があの子かわいい〜と革靴を履いてることを忘れているのかと言うほど小走りで向かっていた。私も咲希に追いつかなくてはと続くように走ってその場に向かった。
「ねぇ望実、見てみてレッサーパンダだよ。めっちゃかわいくない?シッポフリフリしているよ」
「そうだね、寝ている子や歩いている子色んな子がいてかわいいね。かわいい顔の子もいればキレイな顔のキレイな子がいて多種多様だね」
「ちょんちょん、望実あの子見て?あのレッサーパンダ立っているよ。めっちゃかわいくない?今のうちに写真を撮ろうよ」
凜々しく立っているレッサーパンダをバックに2ショットを1枚写真を撮った。
そしてスマホを見るとお昼近くになっていたので私は咲希にそろそろお昼ご飯にしようと近くのベンチを探していた。
咲希はお土産屋の近くにベンチがあり、そこで2人でお弁当を食べようと誘った。
「ねぇ咲希、今日どんなお弁当なの?予想してもいい?」
「いいよ。絶対に当たらないと思うから」
「重箱に入ったフランス料理におやつはミシュラン監修の生チョコレートでしょ?違う?」
「そんな訳ないでしょっとツッコミを入れた。仮に生チョコレート持ってきていたら溶けているでしょ。今日のお弁当はご飯と肉じゃが、サラダとからあげだよ」
学校の遠足にフランス料理持ってくるって料理人に帯同させるってまず学校が許可しないし周りの目が気になってゆっくりお昼ご飯も食べられないよ。望実がよければお昼ご飯食べあいこしようよ。
うん、いいよとお互いのお弁当を交換してイルカショーの時間まで少しお土産コーナーを見て周り望実はウサギのボールペンを買い、咲希はレッサーパンダのぬいぐるみを買ってイルカショーの会場に行った。
咲希って女子力高いねと喋っていた。
しばらくするとイルカショーが始まり、クロイルカやシロイルカ、シャチ等色々出てきて高くジャンプして飼育員さんが持つ輪っかにくぐり抜けたりと高度の技を生で見て2人で感動していた。最後にイルカやシャチたちはお客さんの前にやって来て頭をペコっと下げている姿はスゴく愛おしくかわいかった。
イルカショーを見終わり、水族館を2人で見て周りペンギンやクラゲを見てかわいいね。一通り写真を撮っているうちにあっという間に集合時間10分前になり望実と咲希は入口に戻った。
そしてバスに乗り込み学校に戻った。バス内で「よかったらまた望実の家に遊びに行ってもいい?」
「うん、いいよ。ペロちゃんより狭い家でよければいつでも大歓迎だよ」
「ちょっと望実、そんな言い方しないで咲希がそんなこと思うわけないでしょ」
「うそうそゴメンね。咲希と喋るの楽しくてついついイジワルしたくなっちゃってさ」
「もう、望実のイジワル。咲希のこといじってくる人初めてだからだから何か新鮮な感じがする」
望実は帰りのバスでホント咲希かわいいよねと頭を撫でた。
商店街巡り
咲希はねぇ望実に声をかけた。
この後商店街巡りしない?この間行った時は断片的にしか見ていなかったからどんなお店あるか見ようよ。
そういえば望実自身も商店街を全て巡ったわけではなかったし、家に帰って特にすることもなかったので咲希も商店街巡りに賛同した。
2人で歩いているとそういえばこの角を曲がって裏手にカフェがあったね。この先真っ直ぐ進むと何があるのかとワクワクしていた。すると望実は足を止めて気になる看板を見つけた。
「鎌谷商店街名物コロッケ 1個50円」
「1個50円って安い。ねぇ咲希コロッケ食べない?」
名物っていうからには相当美味しいはずだよ。望実はコロッケを2つ注文するとコロッケが売り切れた。
後ろに並んでいていたおじいさんから声をかけた。
お姉ちゃんたちラッキーだね。ここのコロッケは並んでもすぐに売り切れるほど人気でここの商店街の名物、いや代名詞といっても過言じゃないよ。味はワシが保証するよ。
その話を聞いてさらに手に持っているコロッケの期待が高まる。そして2人で1口食べた。
「中はホカホカでこの衣までしっかり味が染みて美味しい」
「このコロッケを食べてさっきのおじいちゃんが言っていたこの商店街の名物、いや代名詞だと言っていたがホントにそうだなと思った」
その後も雑貨屋や花屋、商店街の歴史資料館を色々巡っているといつの間にか陽が落ちていた。
咲希はそろそろ日没だし今日はもう帰るねと伝えて電車に乗って帰って行った。望実も帰ろうかなと考えたがいつも優姫にお店を教えてもらってばかりだからたまには自分でお店を開拓して優姫に教えようともうしばらく商店街たけでなくその近辺を歩いて周っていた。
だがそんな簡単には見つからず、帰ろうとしていたらオシャレでかわいい佇まいの雑貨屋を見つけて店内に入りぐるりと1周するだけでもかわいい雑貨が沢山あり、今度咲希と一緒に来ようと決めた。お店をスマホで写真を撮って家に帰った。
親戚も大御所
望実と咲希はいつものように学校で喋っていた。
「ねぇ望実、この前食べたシュークリーム食べたからまた買って家にお邪魔したいけれどいいかな?」
「いつでもいいけれど佐藤さんが行くって言ったらやめときな。あなたの行く所じゃないよって審査で引っかかるとかない?大丈夫?」
「そんな人のプライベートの事までどうして佐藤が関与しなきゃいけないのよ。おかしいでしょ?」
「たしかにそうだね。じゃあいつにする?」
今日の学校帰り行こうよ、何故か咲希はテンションが上がっていた。それだけラドールのシュークリームを気に入ってくれたと思うと嬉しかった。
電車に乗ってラドールに向かった。
この時望実は咲希がスゴいことを言うのではないかと思っていた。
「ここのシュークリーム全部、料金は自宅の住所書いて買い占めるたりしないだろうか……」
「ちょっと望実、固まって何を考えていたの?もしかしてここのシュークリーム買い占めるとでも考えた?でもそのくらいここのシュークリーム美味しいけれどさすがにそんなことしないよ。
でも佐藤とパパやママに食べてほしいから4つ買って帰ろうかな」
「じゃあ望実もパパとママの分含めて3つ買うことにしよう」
家に帰り友達連れて来たよとリビングに向かった。
ママはあれ?お友達?
「初めまして、望実さんのクラスメイトの川本咲希です宜しくお願いします。望実さんにはいつも仲良くしてもらいありがとうございます」
「ママはこちらこそいつものぞと仲良くしてくれてありがとう。狭い家だけどゆっくりしていってね」
「咲希はありがとうございます。望実、買ってきたシュークリーム食べようよ」
「そうだね。ママ、帰りにラドールでシュークリーム買ってきたから3人で食べよう。勿論パパの分も買ってきてあるよ」
「ママはコーヒーを淹れて3人でシュークリームを見つつテレビを見ていた。するとママは目を輝かせてテレビに釘付けになっていた」
その番組は「往年のアイドル小野寺浩子特集」が流れていた。
「私たちママの世代はアイドルといえば小野寺浩子で当時の女の子たちはヘアスタイルやファッションをみんなマネしていたものだよ」
「ふとある言葉を発した。叔母ってスゴい人だったって改めて知りました」
ママは不思議そうな顔で咲希に問いかけた。
「……。咲希ちゃんだっけ?叔母っていうと……」
「小野寺浩子は咲希の母方の叔母にあたり、親戚として会ったことありますが叔母自身がそういう話をあまりしないのでこんな燦然と輝いていたと改めて知りました。
「ちなみに父方の伯父は元プロ野球選手でプロ野球通算5000本安打を放った木村小次郎でその奥さんはモデル・女優として活躍したサオリです」
シュークリームを食べていた望実にママは肩を叩いて廊下に来るようにと呼び出された。
「ちょっと望実、あの咲希ちゃんって子スゴい家系だけど一体どこに住んでいるの?」
「東京にある錦城って所だよ。前に咲希の家に遊びに行った時にここは日本なのか?異国の地なのか?って感じになったよ。それよりもママ、昔あの辺りにゴミ屋敷の家があったって咲希が言っていたけれどホント?」
「昔、ニュースで高級住宅地にゴミ屋敷の家があってその時は地価が下がったけれどそのゴミ屋敷がなくなってからは毎年住んでみたいランキングで1位を争うような感じだよ。それで家に行ってどうだった?」
「ママがその小野寺浩子っていう人のファンだっていうのは初めて知ったよ。これで驚いていたら咲希の家に行ったらママ腰抜かして歩けなくなるかもね」
「やっぱりそんなにスゴいのか……。なんか住む世界が違うね。だけど咲希ちゃんからはそんな雰囲気感じなかった」
「咲希が普通に接して欲しいって言われてさ。咲希に家に行きたいってお願いしてみたら?優しいから是非ともお母さんも遊びに来てくださいって言ってくれると思うよ。聞くだけタダだし」
「そうだね、さすがにママからお願いするの烏滸がましいから望実からそれとなくお願いしてみてくれないかな」
「うん、分かった」
望実は再びリビングに戻った。
「ねぇ咲希、今度また家に遊びに行ってもいい?ママも一緒でもいいかな?」
「是非ともみなさんで遊びに来てください。大したおもてなしも出来ませんが来た時は寛いでいって下さい」
「望実とママにこれは咲希が謙虚で言っているだけだよ、私たちが大したおもてなしが出来ませんがって言うのとは訳が違うからね」
咲希が帰るいうことで望実は駅まで見送りに行った。
この時望実は改めて感じた。
友達の川本咲希はただものではないと実感した。
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