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「抜け忍には死の制裁が掟だが、辱めを与えることは許されていない」
女頭が男の歪んだ思考に釘を差したが、男は不服を露にした。
「辱め?死ぬ前に一人前のくノ一に仕込み直してやるまでよ。それが辱めか?」
男はリセの頤を上げさせ、まるで舌なめずりするかのように視線を這わせた。
「お前はまだ生娘だ……そうだろう?」
「やめろ、佐次っ!」
鉄錆が声を荒げて男の名を挙げた。
その腕を掴んで凄もうと、佐次はリセから手を外さない。
「お前が俺に命令するな……」
外さないどころか鉄錆への苛立ちを募らせ、リセの顎を軋ませた。
「二人とも、やめろっ!!!」
女頭が仲裁に入ったことで、リセの顎は辛うじて佐次に砕かれずに済んだようだ。
「何だ?お頭、これから殺す奴に何の計らいがいる?」
「忘れるな、まだ仕事は済んでいない。我らに遊んでいる暇など無い」
佐次の方はまるで納得のいかない様子にあったが、女頭が命じた通り、リセの命運は鉄錆の手に委ねられることになった。
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