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 私は紅茶とチーズケーキ、圭子さんは珈琲とチーズケーキを注文した。当たり障りのない世間話で待ち時間をつぶす。学校生活のこと、進路のこと、その他のことなど、圭子さんは気まずい雰囲気にならないように度々話題を振ってきた。  話のネタが尽きる頃、タイミングよくチーズケーキが運ばれてきた。きつね色の焦げ目と薄黄色の生地が食欲をそそる。チーズケーキの端を一口大に切って口に入れると濃厚なチーズの香りが広がった。控えめな甘みが追い打ちをかけるように蕩けていく。 「美味しい…………」 「でしょう? ここのチーズケーキが大好きで学生の頃からこの喫茶店に通いつめていたのよ」  圭子さんはそう言ってチーズケーキを頬張った。頬に手を当てて目を細める。これ以上にないくらい幸せそうな表情だった。余程、チーズケーキが好きなんだろう。  食べるほどにその表情の説得力は増すような気がした。私はチーズケーキを食べ終えると、ぬるくなった紅茶を啜った。ふと、圭子さんの方に目を向ける。チーズケーキが半分ほど皿の上に残っていた。圭子さんはうつろな目をして窓の外を眺めている。 「どうかしましたか?」 「あ、いえ、何でもないのよ。……来るときは晴れてたのに曇ってきちゃったなあって思って」 「そうですね。雨降らないといいけど」  外は厚い雲に覆われていて薄暗くなっている。雨雲が立ち込めていて今にも雨が降り出しそうだった。
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