人魚

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今でもずっと、今日みたいに月の光が穏やかな夜は、 テオ、あなたといつも一緒に泳いできたこの場所に来ているわ。 二人の宝物、たくさんの思い出と約束の詰まった貝殻と共に。 ぎゅっと胸に抱きしめて、それからそっと耳に寄せ、 聞こえてくる深海の音にあなたと過ごした日々を感じて、こうして独り。 暖かに煌めく賑やかな街の灯り。 あなたと見ていた頃の景色とは変わってしまったけれど。 どう?明るく灯る街も素敵じゃない?って、頬に寄せた貝殻に囁くと、 ポッとほんわり、肌を撫でられたような温かさに包まれて…。    もし私を見かける人間がいたら、 こんな人魚伝説も描いて欲しいわ.。o○
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