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女「恋人ができたんよ、彼」
男「怨恨か」
女「話最後まで聴かんかい。『推し』っておじさん知っとる?私あの方の『推し』やってん。心から応援しとうてLIVE行ったりグッズ買ったり」
男「ファンみたいなものか」
女「そのなかでも私は古参。デビュー当時から応援してた。事務所所属するまでは仮マネージャーで彼のことを微力ながら宣伝したりした」
男「聴けば聴くほど怨恨による犯行に思えるが?」
女「その辺の貧弱リスナーと一緒にしないで。よくおるやろ?推しが誰かと付き合った途端、裏切られた騙された信じてたのにミソカス吐かしとるやつ」
男「ファンなら恋人ができれば裏切られたと思うだろう」
女「そもそもおかしいやん。自分のモンにしとうて金貢いでたんかい。自分のモンにしとうてSNSでRTしとるんかい。モノにしたきゃ付き合えばええやん。付き合うとうて近づくんはファンやない。ただのサルや」
男「弁えってやつだな」
女「せやからこそ、【歌い手】は【歌い手】を貫いてほしいんや。それがファンへの礼儀とちゃう?」
男「ほお」
女「LIVEのためにわざわざ遠征する。高額な登録料払ってでもプレミアムでありたい。グッズのために貯金使い果たして親から借金した者もおる。そんな支援者なかなかおらんで。せやからこそ」
恋人ができても、徹底的に隠し通して欲しいんや。
女「ファンはな、偶像に妄想しとうて応援しとんねん。そこで距離詰め寄ったり、恋人できると一気に冷めンねん。結婚ならまだええ。恋人ができてもひけらかすその態度が問題やねん」
男「なら、そのぷらんぷらんとか言うやつを殺せばいいだろう。なぜ罪もない親戚を襲った?」
女「マスコミに言いふらしたんはコイツや。そのおかげでぷらんぷらんサマは食事も喉を通らず、部屋から1歩も出ずにひとり隠遁しとる。推しの口軽も悪いけどコイツがそもそもの元凶や。推しが大っぴらに活動できんのも親戚連中から受けた人格形成が原因や。本人がそう言っとった」
男「君なりの制裁ってわけか?ずいぶん独りよがりだな」
女「ファンほざくアホな嫉妬オンナよりよっぽどまともな神経やで?私はな……」
"橋渡し"や。
女「リスナーと推しを繋ぐためのな。ファンは橋渡しせなあかん。LIVEでも最前列はアカン。いちばん真後ろで、新しくできたファンとそれに涙する推しを眺めるんや。それがホンマモンのファンや」
男「……」
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