【新雨月物語】

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僕は優しすぎて、賢くなかった。 あいつもまた、賢くなかった。 だから─── 僕「………磯良(いそら)」 目の前の君を、死んだ妻の名で呼んだ。 君「はい。………正太郎(しょうたろう)さま」 彼女はそっと、僕の首にその冷たい指をかけ、耳元で囁く。 君「大好き」 ……だから、死んで。 僕は、そっと目を閉じた。 ───了
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