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【新雨月物語】
◆ ◆ ◆
僕「弱いよ、僕は」
君「優しいだけだよ」
僕「あいつ、死んだよ。僕が殺したようなもんだ」
君「弱かったんだよ」
僕「僕、君といれば、変われるかな」
君「わからない」
僕「いまさら実家には顔出せない。家督を継ぐ気もないし。向こうの親御さんにもなにも云える立場じゃない。それならいっそおまえとずっとこのまま、そう思った」
君「いいよ。私もずっと一緒にいたいもん」
僕「でも、もしかしたら、また僕はどこかに行っちゃうかもしれない」
君「そんなことしたら、私死んじゃうよ」
僕「いや冗談にならないから、そういうの」
君「私が、奥さんに見えた?」
僕「──ちょっとね。僕さ、縛られて繋ぎ止められるの嫌いなんだよ。なんかキツいってか苦しいってか」
君「いずい?」
僕「うん、いずい」
君「私、あなたが行先も告げずどこかに行って、3日後に帰ってきたとしても、なでなでしてあげられるよ?」
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