第一章 自殺同盟

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「行かないで下さい」  甘栗は急に甘えるような言い方をする。思わず新の動きは止まる。 「言い忘れたことがあります」 「言い忘れたこと?」 「おめでとうございます」 「え?」  唐突な発言に新は甘栗を見た。 「十月十四日。今日、新道さんの誕生日ですよね。免許証で見ちゃいました」 「あ、あぁ。うん、ありがとう」 「と言っても後三時間程で終わります。すみませんね。貴重な誕生日の日に私なんかに付き合って貰っちゃって」 「別に。誕生日なんか気にするような歳でもないよ」 「歳なんて関係ありません。誰だって誕生日は特別な日に感じます。何かお祝いしましたか? ケーキ食べたり」 「そんなことしないよ。寝て起きてゲームして今に至る。それだけだ」 「随分、寂しい過ごし方ですね」 「ほっとけよ」 「じゃ、一つ気になることがあるんですが聞いてもいいですか?」 「なんだよ。もったいぶるなよ」 「じゃ聞きますけど、どうして新道さんは誕生日の日に自殺しようとしていたんですか?」
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