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「行かないで下さい」
甘栗は急に甘えるような言い方をする。思わず新の動きは止まる。
「言い忘れたことがあります」
「言い忘れたこと?」
「おめでとうございます」
「え?」
唐突な発言に新は甘栗を見た。
「十月十四日。今日、新道さんの誕生日ですよね。免許証で見ちゃいました」
「あ、あぁ。うん、ありがとう」
「と言っても後三時間程で終わります。すみませんね。貴重な誕生日の日に私なんかに付き合って貰っちゃって」
「別に。誕生日なんか気にするような歳でもないよ」
「歳なんて関係ありません。誰だって誕生日は特別な日に感じます。何かお祝いしましたか? ケーキ食べたり」
「そんなことしないよ。寝て起きてゲームして今に至る。それだけだ」
「随分、寂しい過ごし方ですね」
「ほっとけよ」
「じゃ、一つ気になることがあるんですが聞いてもいいですか?」
「なんだよ。もったいぶるなよ」
「じゃ聞きますけど、どうして新道さんは誕生日の日に自殺しようとしていたんですか?」
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