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第二章 もう一人の自殺願望者
翌日、日が暮れ始めた頃だった。
新は自室で何をする訳でもなくただベッドで仰向けになり天井の一点を見つめていた。
「新、いるの?」
会社から帰宅してきた母親は確認する為に部屋を覗かせた。
「勝手に入ってくるなよ」
新は反抗期のように母親を毛嫌いした。
「いるならいるって言いなさいよ」
「はい、はい。いますよ」
「仕事見つかったの? 暇そうにしているなら働きなさいよ。前の職場を辞めてからずっとじゃない」
「分かっているよ。そのうち見つけるよ」
「言っておくけど、ニート生活の手助けなんてごめんだからね。就職する気があるならハローワーク行きなさい」
「だから分かっているって」
「何よ。その態度。こっちは心配して言っているのに何様のつもりよ」
「分かったよ。近いうちに行くからもう出て行ってくれよ」
「ったく」
母親は乱暴にドアを閉めた。
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