第二章 もう一人の自殺願望者

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「あ、新道さん。お早いご到着ですね」  二十時五十分頃、甘栗は手の平を見せながら扉から顔を覗かせた。またしても制服姿である。 「学校からそのまま来たのか?」 「えぇ、帰るのも面倒だったので」  この時間まで一度も帰宅していないことを考えると今まで何をしていたのだろうか。  学校は大体夕方には終わる。考えられるとしたら部活動かアルバイトか。それにこんな遅くの時間を指定する意図は何なのか。気になるところはいくつもある。  それはそれとして新は甘栗の手にリードのようなものが握られていることを指摘する。 「それは?」 「あぁ、約束のいいものを持って来ました。ほら!」  甘栗がリードを引っ張るとそこには首輪で繋がれた女子高生の姿があった。甘栗と同じ制服だ。髪は肩まであり、背は百七十くらいと女子にしては高い。目線を下に向いており、元気がない様子だ。持ってきたというより連れてきたというべきである。  甘栗が主人で女子高生が飼い犬のような構図だ。 「その子は?」と新は聞くのが精一杯だ。
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