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四日目、夏風邪はやっぱり馬鹿がひく
心配をよそに、水野くんは翌日けろりと回復した。それはとても喜ばしいことに違いなかった。なかったんですが……
「……うーん……うーん」
今度は私が熱を出した。水野くんの大馬鹿野郎。めちゃくちゃ辛い風邪じゃないか。
「揺、大丈夫か?安心しろ。今日は俺が看病するから!」
私に恨まれているなんて気づかずに、彼はどこか嬉しそうに言った。
「……一人で大丈夫だよ。水野くん学校好きなんでしょ?あと二日しかないんだから行ってきなよ」
「大丈夫だ!正式に人間になればいくらでも行けるから!」
「だからそれは諦めて下さい……」
水野くんは聞く耳を持たず、甲斐甲斐しく私の額のタオルを替えてくれる。あまりにも頻繁に替えてくれるので、落ち着かない。
「あの……大丈夫だから」
「そうか!まずは昼飯の準備だな!今日は俺がオカユを作ってやる!待ってろ!」
「……なんでそんなに嬉しそうなの……」
彼の漲るオーラに圧倒されて、余計身体がぐったりする。
辛くて目を瞑っていると、隣のキッチンからガチャガチャと大きな音が響いた。
……大丈夫なの?止めたいけれど、身体が動かないし、大きな声も出せない。
「うっわ!やっべーーー」
……心配で眠れない。
「……なにこれ、超あちい。え?溶けていってる……」
何をやっているの?
「これ、魔女呼ぶべきかな。呼ぶか、いやでもな。……ここは愛の力で、一人で成し遂げてみせる!」
……そこは魔女を呼んでほしかった。
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