『お子様は引っ込んでろ』

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『お子様は引っ込んでろ』

「可愛い後輩の役に立てるなんて、兄崎先輩も嬉しいでしょう?」 「嬉しかねぇよ!」  何が分かりましただ。  これっぽっちも分かっていない。  人々の視線が交差する。  女性店員が苦笑をうかべ兄崎を見る。  好奇の笑みをうかべた女子高生の集団が、こちらを指差しひそひそと何かを話している。  ときおり、奇声じみた悲鳴と笑い声が店内に流れるオルゴールの音色に絡む。  兄崎は向かいの、クレープ屋を眺めた。  可愛らしい雑貨店の向かいにクレープ店があれば、自然と女性客も集まるだろう。  男なんてほとんど寄り付かない。  通路を通り過ぎるか、恋人らしき少女に強請られて一緒にクレープを購入しているかくらいだ。  クレープをを手に小さな椅子に座る女子高生がジュースを飲みながらこちらを伺っている。  面白いテレビでも見ている気分なのかもしれない。
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