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「髪」【お題 斜め前の気になるあの人】
誰も居ない静かな映画館が好き。
その静かな空間で一人、ホラーを見るのがたまらなく好き。
今日も仕事帰りにいつもの映画館へとふらりとやって来た。
中に入り、席に掛けると数人の頭部が見えた。
今日は一人じゃないのか、と肩を落とす。
今日は首を狩る殺人鬼の話。
怖くて心臓がドクドクなり、握った手に汗をかく。
ふと斜め前をみると艶やかな黒髪の女の人が座っている。
サラサラの髪が綺麗でとても気になった。
気付いたら他のお客さんも綺麗な髪の人ばかり。
映画が終わると同時に、斜め前の頭部がドサッと床へ落下する。髪がサラッと揺れる。
「キャアァーー!!!」
女の人の頭部だけが転がっている。
次の瞬間に首に冷たいものが触れた。
ぎらりと光るノコギリだ。
「君の髪、綺麗だね…僕にちょうだい」
その瞬間に
目の前に真っ赤な血の雨が降り注ぎ、
眼球がその色に染まる。
私の体は二つに切り裂かれ…
頭部だけが彼の家へとコレクションされた。
終
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