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写真くらい、一緒に撮ればよかったな。いや、せめて隠し撮りでもいいから彼の写真を1枚くらいは撮っておきたかった。
何も言えなかった。いや、言わなかった。
進まないことを選んで、終わらせることも出来ないまま、一時停止の恋心と5年間の想い出全てを置いて東京に出た。
入学した先の高校は国内で1、2を争う進学校で、学年の1/3は最高学府に入学するのが当たり前、みたいな場所だった。地元では天才なんて持て囃されていた俺でさえ、ちょっとでも気を抜くと置き去りにされるような厳しい環境で、楽しい高校生ライフなんてものは存在しなかった。
部活と勉強と、居候先の従兄弟の家では年下の弟たちの家庭教師がわりに勉強を教える。目まぐるしく回る三年間だった。
でも"彼がいない"ってだけで、俺は自由に息ができた。
男子校ってことで、また彼のように好きになってしまう相手が現れたら、と最初こそ身構えていたものの、正直拍子抜けだった。
相変わらず俺の性的対象は男性で、俺の立ち位置は右側で、俺の胸をかき乱すのも、彼しかいなかった。
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