決意

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思春期だから、まあ、若さ故の衝動なんかはあったけれども、堪えるしかなかった。一体誰に言えるっていうんだ。男子校名物・告白してくる可愛い後輩たちに?俺、抱かれたい方だけどそれでもいい?なんて、どの面さげて。 もう身長は180も超えちまって、運動部で筋トレに励んでるせいでガタイもいいし、もう男子校でもモテモテだっつーの。…はあ。 結局、恋人どころか好きな相手すら見つからないままで、無難に高校生活が終わって、無難に大学に合格した。 そして入学した俺を待っていたのは、衝撃の事実だった。 なんでだ。 なんで彼がいる。 1・2年生が集うキャンパスで、俺の目に飛び込んできたのは、相変わらず可愛くてキレイな彼の立ち姿だった。白いシャツにグレーのカーディガン、黒いズボン。何の変哲もない地味な格好。でも、思い出の中の彼より身長は高くなっていて、髪はわずかに伸びていて顎のラインで切り揃えられている。 手元のプリントに目をおとしていた彼が、ふと顔を上げて何かに気づいたように顔を向ける。スローモーション、いやコマ送りのように、一瞬一瞬が網膜に焼きついて、目が、離せない。
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