帰省

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久し振りに帰省をした。 俺の自慢の妹が、この度メデタく結婚するからだ。 背が高くてモデルみたいで、容姿端麗、頭脳明晰、とにかく仕事もできて家事もうまくて可愛くて可愛い自慢の妹なのだ。 「お兄ぃ、邪魔」 すげなく洗面所から兄を追い出す妹でも、可愛いもんは可愛い。昔は俺の後ろをくっついて歩いて、どこに行くにも何をするにも、にぃに、にぃに、と慕ってくれたのに。反抗期を迎えて段々素っ気なくなって、俺より友達や彼氏をとるようになって、挙げ句の果てには結婚だって。 …でも、幸せになってくれるんなら何でもいい。むしろ、幸せにならないと許さん。 「お兄ぃもさっさと支度してぇよ」 本日はお日柄もよく、結納が取り行われるので不肖の長男も一緒に出席するのです。東京からわざわざ夜行バスで帰ってきたのは単純に新幹線の最終に間に合わなかったからで、アラサーにもなるといい加減、無理もきかない。腰が痛くなる座席に何時間揺られていたのやら、まだ身体の芯が揺れている気がする。
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